ライアン小川12勝 小川監督「いなかったら借金40くらいか」

[ 2013年8月4日 06:00 ]

<ヤ・広>リーグトップの12勝目を挙げた小川

セ・リーグ ヤクルト8-2広島

(8月3日 神宮)
 絶体絶命のピンチで開き直れる度胸。そして、狙ったところに投げ込む精密さ。4―0とはいえ、一発出れば同点の5回1死満塁の場面でヤクルト・小川の真骨頂が発揮された。

 菊池を高めの144キロ直球で空振り三振を奪うと、打席には前日に2打席連続本塁打を放った丸を迎えた。1ボール2ストライクから決めにいった内角への直球はわずかに外れてボール。それでも動じない。選択したのは、再び一発のリスクのある内角直球だ。「4点差があったので中村を信じて強気に投げた」と144キロ直球で2者連続三振。「無意識に出た」と右拳を握りしめ、珍しく感情を爆発させた。

 「困ったときの内角直球。本塁打を打たれても同点と開き直って投げられた。チームの雰囲気もよくなかったし、何とか連敗を断ち切りたいという思いだった」

 自身が11勝目を挙げて以降、チームは5連敗。この間計39失点と投手陣は崩壊状態だった。そんな中での8回2失点の好投。自身の連勝は球団記録を更新する7まで伸び、勝ち星は2位の阪神・メッセンジャーに2差をつける12勝と勢いは止まらない。投げるだけでなく、4回2死二、三塁からは二塁走者としてミレッジの右前打で一気に生還。小川監督も「投手も9番目の野手だから」とその姿勢を高評価した。

 借金21で最下位に沈むチームの中で1人で貯金10。小川監督が「あいつがいなかったら借金40くらいか」と感謝するほど、小川の安定感は群を抜いている。それを証明する数字が「QS(クオリティースタート=6回以上自責点3以下)」。ここまで17試合に先発して76・47%。セ・リーグでは阪神・スタンリッジの82・35%に次ぐリーグ2位の数字だ。

 これでナイターは11試合で9勝0敗と無類の強さを誇る。「これからも一戦一戦全力で戦うスタンスでいきたい」と力を込めた小川。エースの風格すら漂う新人右腕の孤軍奮闘が続く。

 ≪貯金どこまで≫小川(ヤ)が7連勝で今季リーグ最多の12勝目を挙げた。新人で12勝は06年八木(日)、7連勝は05年久保(ロ)以来になる。小川はここまでわずか2敗。新人の最多貯金は50年荒巻(毎日)の18(26勝8敗)だが、ドラフト制以降で2桁貯金は
年 投手(所属) 勝―敗  貯金
66堀 内(巨) 16―2(14)
70佐 藤(南) 18―6(12)
80木 田(日) 22―8(14)
99上 原(巨) 20―4(16)
99松 坂(西) 16―5(11)
の5人だけ。小川はどこまで増やせるか。

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