Aロッド “守ってくれない”ヤ軍批判「利益を得る集団がいる」

[ 2013年8月4日 06:00 ]

試合前、ファンにサインをするA・ロドリゲスに観客が「CHEATER」と書いたボードを向ける

イースタン・リーグ 2Aトレントン6―2、2Aリーディング

(8月2日 トレントン)
 禁止薬物を使用したとして、大リーグ機構から処分を科されることが決定的なヤンキースのアレックス・ロドリゲス内野手(38)が2日(日本時間3日)、左太腿の張りのリハビリで参加した傘下2Aトレントンでの試合後、球団を痛烈に批判した。処分発表は5日(同6日)が濃厚。試合は「2番・三塁」で出場して3回に左越え2ランを放ったが、処分の結果次第では現役最後の本塁打になる可能性もある。

 薬物問題の渦中にいるスター選手見たさに、約6400人収容の球場に8080人が押し寄せた。そして、ロドリゲスは3回、左越えに豪快な2ラン。試合後の会見でもかっ飛ばした。150人以上も集まった報道陣の前で、ヤンキースへの不満を爆発させたのだ。

 「自分が戻らないことで利益を得る集団が複数いる。それはチームメートでもファンでもない」

 フロリダ州マイアミのクリニックに端を発した薬物問題。ロドリゲスは今季残り試合と来季全試合の出場停止処分を科されると言われ、受け入れなければ永久追放処分も検討されている。水面下で自身の弁護団と大リーグ機構側が交渉している内容は明かさなかったが、一人だけ重い処分になりそうな動きに激怒。機構側とつながり、メジャー復帰させないヤ軍への怒りもこみ上げた。

 ヤ軍がここまでロドリゲス復帰に慎重なのは、年俸削減の手段と推測される。10年契約の6年目。今季はでん部手術で開幕を故障者リストで迎えたため、このまま今季プレーせずに来季も出場停止となれば、総額5300万ドル(約53億円)の支払いが免除されるという。その分を補強費に回せるため、球団には理想的な展開。ロドリゲスは「禁止薬物は排除すべきと思うが、全てが裏で取引され、契約解除へつなげることは問題だ。自分だけでなく、今後の選手たちにも関わる。(球団の思惑は)明白だろう」と話した。

 ロドリゲスは5日ホワイトソックス戦での復帰をにらむが、くしくも同日は処分が発表される見込み。即出場停止になる可能性は極めて高い。だが本人は「雷にでも当たらなければ(復帰)できる。まだ引退する時期ではない。このご時世何が起きても不思議ではないが…」と楽観的だ。歴代5位の647本塁打を誇る強打者に審判が下されるのはまもなくだ。

 ▼CHEATER 詐欺師や不正をした人などを指す言葉。うそをついて人をだます行為などにも、用いられることがある。

 ◆アレックス・ロドリゲス 1975年7月27日、ニューヨーク州生まれの38歳。マイアミ州の高校を卒業し、93年にドラフト1巡目(全体1番目)でマリナーズと契約。94年7月8日のレッドソックス戦でメジャーデビュー。FAとなった00年オフにレンジャーズへ移籍し、04年からヤンキース。メジャー通算2524試合で打率・300、647本塁打、1950打点。MVP3度、本塁打王5度。1メートル91、102キロ。右投げ右打ち。今季年俸は2800万ドル(約28億円)。

 ≪クリニック代表証言もとに調査≫今回の騒動の発端は、今年1月の「マイアミ・ニュータイムズ」の記事。マイアミにあるクリニックが、複数の選手にヒト成長ホルモン(HGH)など禁止薬物を提供したと報じられた。選手の体内から禁止薬物は検出されなかったため、大リーグ機構は独自に調査。手書きの顧客リストを残していたクリニック代表の協力も得て、その証言などから処分に踏み切る方向だ。最初の違反は50試合出場停止とされているが、ロドリゲスはレンジャーズ時代の01~03年に使用していた事実から、処分は重くなる見込み。

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