ダルは新ドクターK 407K&16度目2ケタKは“元祖”に次ぐ歴代2位

[ 2013年8月3日 06:00 ]

<レンジャーズ・ダイヤモンドバックス>メジャー自己最多に並ぶ14三振を奪い10勝目を挙げたレンジャーズのダルビッシュ

インターリーグ レンジャーズ7―1ダイヤモンドバックス

(8月1日 アーリントン)
 新ドクターKだ!レンジャーズのダルビッシュ有投手(26)が1日(日本時間2日)、ダイヤモンドバックス戦で7回を5安打無失点と好投し、10勝目を挙げた。最速98マイル(約158キロ)の直球を軸に、自己最多タイで、球団新記録となるシーズン4度目の14奪三振をマーク。この日がメジャー通算50試合目の登板となったが、通算407奪三振、16度目の2桁奪三振はいずれも大リーグ歴代2位の記録となった。

 みんなだまされた。2回1死二塁、カウント1ボール2ストライクからの4球目。ダルビッシュは左足を上げると、時計回りの二塁けん制をするように左肩を内側に入れた。この微妙な動きにリードを取っていた二塁走者のロスは慌てて帰塁。さらに捕手のピアジンスキー、球審もけん制と思い込んで腰を浮かせた。

 ところが、だ。そこから本塁へ投げた。タイミングを外された打者のクベルは空振り三振。「けん制っぽくホームに投げた。審判もAJ(ピアジンスキー)もバッターもランナーもベースコーチもみんなだませたので、それが凄く快感でした」。ダルビッシュはいたずらっぽく笑った。

 それだけではない。目下、ナ・リーグ打点トップの3番ゴールドシュミットに対しては、4回に走者がいない状況で1―2からクイックで投じ、95マイル(約153キロ)直球で見逃し三振。3打席連続三振と圧倒し「いいところでいいところに行った」と振り返った。

 4回まで12アウト中10個で、6回まで毎回の14奪三振。7回は三振を奪えず、メジャー自己最多とはならなかったが、圧巻の奪三振ショーにスタンドの「K」の文字も揺れた。メジャー50試合目の登板で通算407奪三振、16度目の2桁奪三振は、いずれも「元祖ドクターK」と呼ばれたドワイト・グッデンの418奪三振、20度に次ぐ歴代2位の数字となった。

 右僧帽筋の張りで故障者リスト(DL)入りした後の3試合は2勝1敗、防御率0・47。好調の要因は、フォーシームの制球力が上がったことだ。DL期間中、投球フォームの見直しに着手。前回登板後には「横振りで投げていたのが、今は上から投げるという意識」と明かした。肘の位置を高くし、縦振りにすることで制球が安定。フィニッシュで三塁方向に流れ気味だった体重も、左足に乗るようになった。

 昨季は6月26日に10勝に到達したが「去年よりは安定したピッチングはできている」と言い切る。到達時3・57だった防御率は今季は2・66。向上心と遊び心あふれる投球。ダルビッシュにはまだまだ進化の余地が無限に広がっている。

 ▼レンジャーズ、ロン・ワシントン監督 素晴らしい内容。直球をベース板の両側に投げ分けていた。

 ▼レンジャーズ・ピアジンスキー シーズン初戦のあと1人で完全試合だった試合を含めても、今季一番に匹敵する内容だった。速球をコーナーに集め、スプリットも良かった。

 ▼ダイヤモンドバックス、カーク・ギブソン監督(5月の前回対戦では14三振を奪われながらも4得点)前回は終盤に捉えたが、今夜はそれができなかった。

 ▽ドクターKの由来は? 84年にメッツでデビューし、1年目から活躍したドワイト・グッデンについた愛称。1970~80年代に活躍したNBAのスーパースター、ジュリアス・アービングの「ドクターJ」に由来する。高校時代にアービングに「プロフェッサー(教授)」と呼ばれた友人が「ドクター(医者)」と返したことが始まりで、NBA入り後も愛称として定着した。三振を意味する「K」が「J」とアルファベット順で並んでいるため。なお、グッデンが大学時代に医学免許を持っていたためとの説もあるが、これは間違い。

 ≪シーズン4度はライアン超え球団新≫ダルビッシュの14奪三振は今季4度目。1シーズンに14奪三振以上4度は、90年ノーラン・ライアンの3度を抜く球団新記録。大リーグ全体でも、04年のランディ・ジョンソン(ダイヤモンドバックス)以来で、1916年以降でメジャー歴代16度目(7人目)の快挙となった。

 ≪デビュー50戦26勝は日本人最多タイ≫ダルビッシュはヤンキース・黒田、マリナーズ・岩隈に続いて10勝目をマーク。同一シーズンで日本人3投手の10勝は99年(吉井12、野茂12、伊良部11)、02年(野茂16、石井14、大家13)に続き3度目となった。また、ダルビッシュのデビュー50試合での26勝は07、08年のレッドソックス松坂(現インディアンス傘下3A)と並ぶ日本人最多。

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