黒田、弟分に意地見せた カーショーと無失点ショー

[ 2013年8月2日 06:00 ]

ドジャース戦の5回を終え、イチロー(左)に迎えられてベンチに戻るヤンキース・黒田

インターリーグ ヤンキース3―0ドジャース

(7月31日 ロサンゼルス)
 ヤンキースの黒田博樹投手(38)は31日(日本時間1日)、昨年のヤ軍移籍以来初めて、古巣ドジャースタジアムで先発。互いに認め合う弟分、11年サイ・ヤング賞左腕のクレイトン・カーショー投手(25)と息詰まる投手戦を演じた。ともに無失点で降板した試合はヤ軍が9回に3点を勝ち越して勝利。7回を5安打無失点8奪三振の黒田は、7月を3勝0敗、防御率0・55で終え、月間MVPの有力候補となった。

 最後の球は迷わず決まった。0―0の7回2死一、二塁、フルカウント。シューメーカーに対し、黒田はこの日最も頼れる球だったスプリットを投じた。空振り三振。「やる以上は勝ちたい。そういう気持ちが出たんじゃないですか。カーショーが相手なら僕が0点に抑えるしかない」。今季一番の雄叫びとともにガッツポーズが出た。

 4年間在籍したド軍との交流戦。試合前に「予想外」という大きな拍手で迎えられた黒田は、不思議な巡り合わせを感じた。「神様のいたずらというか…」。11年9月22日ジャイアンツ戦以来678日ぶりのドジャースタジアム登板。相手先発は、現役最強左腕で13歳年下の盟友だった。3日前にカーショーの登板が前倒しされ、初対決が実現した。

 黒田が広島からド軍入りした08年。当時20歳のルーキーで、キャッチボールの相手を務めたのがカーショーだ。黒田はブレーク前から「最高の投手になる」と、その素質と野球への取り組みを評価。一方のカーショーも「学んだことはたくさんある」と慕う。11年オフに黒田がド軍残留か移籍かで悩んでいた時は「一緒に戦おう」と懇願し、再びFAになった昨オフも「戻ってきてくれないか」とメールを送った。

 認め合う2人は、かつて一緒に戦った場で火花を散らした。「意地の張り合い。お互い無言の投球だった」と黒田。5万3013人の大観衆が見つめる中、黒田は7回、カーショーは8回を無失点で、2人の間で勝負はつかなかった。防御率は黒田がア・リーグ2位の2・38で、カーショーはナ1位の1・87。カーショーは「ア・リーグで一番いい投手と投げ合い(試合に)負けたのだから仕方ない」と話した。

 首位レッドソックスに8ゲーム離され、地区4位と苦闘が続くヤ軍だが、黒田の活躍で7月を14勝12敗と何とか勝ち越した。「まだヤンキースは終わっていない。(自分の投球で)チームに勢いをつけられればいい」。奇跡の逆転を信じ、8月も投げ抜く。

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2013年8月2日のニュース