“みちのくのイチロー”橋本 昇格即レーザー補殺「見せ場だな、と」

[ 2013年7月31日 06:00 ]

<巨・ヤ>試合に勝利し原監督(左)に迎えられる橋本

セ・リーグ 巨人4-1ヤクルト

(7月30日 東京D)
 0―1の3回無死一、二塁のピンチ。一筋のレーザービームが試合の流れを変えた。ヤクルト・山田の飛球を、この日に1軍最昇格し、プロ初の右翼で先発した巨人の5年目・橋本がほぼ定位置でつかむ。

 助走をつけ、1メートル72と小柄な体を目いっぱい使い、三塁へ矢のようなワンバウンド送球。二塁からタッチアップした俊足の川島を刺した。

 「走ってくれたらラッキーじゃないけど、見せ場だな、とは思っていた。肩は僕のアピールポイント。肩だけは誰にも負けないように、と思っている。決して完璧ではないけど、練習通りいい球が投げられた」

 その直後の攻撃。今度はバットで魅せる。1死一塁から左翼フェンス直撃の二塁打。村田の逆転2点二塁打を呼び込んだ。5回は俊足を飛ばし三塁内野安打で出塁。後続の押し出し四球で追加点のホームを踏んだ。6回2死一塁でも四球を選び、坂本の中前適時打を呼んだ。全4得点に絡み、2度の生還を果たした。

 プロ初のお立ち台にまで一気に駆け上がった橋本は、「みちのくのイチロー」と呼ばれ、08年ドラフト4位で入団。だが、昨年は3年ぶりに1軍出場がなく、11月には練習中に打球が直撃し、右顎下骨折の重傷を負う不運にも見舞われた。今季も2軍暮らしが長く、同年代の中井、立岡ら他の若手が指揮官の起用に応え1軍で暴れていた。「悔しかったし、刺激になった。僕が生き残るには、一つ抜けた部分を持たないと」。その強肩を発揮した。

 今季、出場選手登録された若手にはすぐに出番を与えている原監督は「肩の強さは巨人でも1、2番。最初の守備で出るというのは、しっかり鍛えていたからこそ。若手が勝利をもたらすことはいいこと」と満足げに話した。

 「仮にダメで2軍に行くとしても、自分がやりたいようにやって、ダメならしようがない」と橋本。選手層の厚さをまざまざと見せつけた1勝でもあった。

 ◆橋本 到(はしもと・いたる)◆

 ☆生年月日 1990年(平2)4月28日、秋田県生まれの23歳。

 ☆球歴 小2から野球を始め中学時代は東北シニアに所属。仙台育英では2年春夏、3年夏とレギュラーで甲子園に3度出場。3年夏は初戦から6打数連続安打し、計12打数8安打。1学年上の先輩にヤクルト・由規。

 ☆ニックネーム みちのくのイチロー。

 ☆巨人一家 父・直道さん(52)は元巨人の江川卓氏に憧れていたため、橋本の4歳上の兄を卓と命名。「野球を始めたきっかけも巨人でした」

 ☆太っ腹 巨人入りが決まると母校の仙台育英に約100万円のグラウンド整備用トラクターを寄贈した。

 ☆幸運? 昨年1月の宮崎での自主トレではOBの打ち直しながら、人生初のホールインワンを達成。「でもホールインワンじゃないんですよね。持っているんだか、ないんだか…」

 ☆師匠 自主トレでは亀井に師事。その亀井と入れ替わりでこの日昇格し「活躍することが亀井さんにもいい報告になる」

 ☆投打 右投げ左打ち。遠投120メートルの強肩と50メートル6秒0の俊足の持ち主。

 ☆サイズ 1メートル72、75キロ。

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