ライアン小川 上原以来14年ぶり新人白星「ぶっつぶす気持ちで」

[ 2013年7月21日 06:00 ]

<全セ・全パ>ヤクルト・小川は2回を1安打無失点

マツダオールスターゲーム2013第2戦 全セ3―1全パ

(7月20日 神宮)
 10勝右腕VS二刀流の注目の新人対決。1メートル93の大谷を打席に迎えた1メートル71のヤクルト・小川の眼光は一層鋭くなった。

 「一人一人ぶっつぶす気持ちで対戦した」。6月8日の日本ハム戦(神宮)では右前打を浴びたが、初球はこの日最速の145キロ直球でファウル。2球目に真ん中高めのカットボールを投じて二ゴロに打ち取り、交流戦の借りを返した。

 大リーグ歴代最多奪三振を誇るノーラン・ライアンを参考にした左足を高く上げるフォーム。しかし、それだけが特長ではない。象徴的だったのが4回1死からの中田の打席だ。「制球があまりよくなかったので、フォームの間を意識して投げた」。縦に大きく振り上げた左足を下ろし、右足にタメをつくりながら体全体を使って打者方向へ体重移動。初球の144キロ直球は真ん中高めだったが、中田はタイミングを合わせきれずに上げた左足を下ろしてしまった。2球目の外角の143キロ直球で右飛。「(中田が)高校時代から甲子園で活躍するのを見ていた」と球宴で最も対戦したい打者として名前を挙げていた憧れの打者を、直球勝負で打ち取った。

 足を高く上げる動きが注目されがちだが、小川は「打者のタイミングをずらすために、横へ体重移動する時間を長くすることを心掛けている。縦よりも横の動きです」という。小柄な体で角度をつけられないからこそ、足を下ろしてから左足の着地をギリギリまで粘り、独特の間で打者のタイミングを外す。これが前半戦だけで10勝を挙げたライアン投法の秘密だ。

 4回先頭の内川を中飛に打ち取った後、バックスクリーンのビジョンに自身の投球フォームが映った。それを見て「シュート回転していたので、体の開きを抑えないと打たれると思って修正した」。このあたりも新人離れしている。3回からの2イニングを1安打無失点に抑え、球宴では99年の上原(巨人)以来、14年ぶりの新人白星を挙げ「良かった」とはにかんだ。

 本拠地・神宮での新人リレーの中でもひときわ輝きを放ったライアン投法。これからも最多勝、新人王争いでも主役を演じる。

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