日本製紙石巻 活動休止から初勝利「復興のシンボル」

[ 2013年7月18日 06:00 ]

<日本製紙石巻・信越硬式野球クラブ>初戦を突破した日本製紙石巻ナインはスタンドの大声援を背にグラウンドを後にする

第84回都市対抗野球1回戦  日本製紙石巻7―3信越硬式野球クラブ

(7月17日 東京ドーム)
 1回戦3試合が行われ、ベスト16が出そろった。日本製紙石巻(石巻市)は3回に打者11人の猛攻で一挙6点を挙げ、信越硬式野球クラブ(長野市)に7―3と逆転勝ち。3年ぶり2度目の出場で待望の初勝利を挙げた。またTDK(にかほ市)も延長12回のタイブレークを制し、7年ぶりに東北2チームが初戦を突破。日立製作所(日立市)も2回戦に進出した。18日は2回戦3試合が行われる。

 取られたら取り返す。その姿に、石巻から駆けつけた約8000人の大応援団は大声援を送り、スタンドで大漁旗がはためく。

 2点を追う3回だ。西川の2点打で同点に追いつき、なお1死一、三塁。4番・伊東が「チャンスだったし、積極的にいこうと思った」と初球を詰まりながら左前打して勝ち越し。この回一挙6点の猛攻で逆転した。

 「4番を打たせてもらっている以上、何でもいいから打点を意識している」と伊東。大会直前のオープン戦で7試合連続無安打だったが、2回に右翼線二塁打して自信を取り戻した。弟に広島投手の昂大を持つ主砲は、桐光学園の後輩・松井の活躍にも「あれだけ騒がれているから」と刺激を受けてチームを勢いづける殊勲の一打を放った。

 3年ぶり2度目の出場で初の初戦突破。木村泰雄監督は「選手がいろいろな困難を乗り越えて伸び伸びプレーしてくれた。これだけの応援の前で勝てて最高です」と喜びをかみしめた。前回10年は東北第1代表で出場したが、初戦でヤマハに敗戦。その翌年に襲ったのが東日本大震災だ。石巻工場の1階天井まで津波が押し寄せ、各地区の第1代表の証である「青獅子旗」も流された。

 木村監督は「震災直後は、もう野球を続けられないんじゃないかと思った」と振り返る。野球部は一時活動を休止。ナインはスコップなどを手に泥をかき、がれきの撤去などの作業に追われた。野球部として活動を再開したのは2カ月後。さらに、その2カ月後にはがれきの中から青獅子旗も見つかり、「復興のシンボル」となるべく都市対抗での勝利を目指してきた。そして再び東北第1代表として、新調された「青獅子旗」で臨んだ今夏。東京ドームで大きな勝利を手にした。

 昨年、入社した伊東は初めて石巻に着いた12年1月7日のことを忘れていない。「津波で何もなくて衝撃が大きかった。半年以上たって、この状況かと思った」。そして「このチームでやってやろう」と心に誓った。チームの成長も、震災復興もまだまだこれからだが、「オール宮城で勝った」と石巻に勇気を与えた1勝に胸を張った。

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