楽天 球団初首位ターン “星野チルドレン”枡田が千金ソロ

[ 2013年7月16日 06:00 ]

<オ・楽>9回無死、枡田は中越え先制ソロを放つ

パ・リーグ 楽天1-0オリックス

(7月15日 京セラD)
 楽天・枡田は打席に入る前から決めていた。「全部、直球のタイミングで打つ」。1ボール2ストライクからの4球目。佐藤達の148キロ直球を「ドンピシャ」のタイミングで右中間に運んだ。

 「もし変化球が来たら空振りでもいいと思っていた。チームの勝ちにつながって良かったです」

 0―0の9回に先頭で放った決勝2号ソロ。ロッテが敗れたため2位とのゲーム差を3に広げ、貯金は今季最多タイの12。過去8シーズンで7度もBクラスに低迷していたチームは、7回の守備から途中出場していた26歳のバットで、球団史上初めて首位でシーズンを折り返すことが決まった。

 直球のみを狙った豪快なスイングの裏には星野監督の言葉があった。14日の西武戦前(Kスタ宮城)、「結果を求めるスイングでなく、自分のスイングをしろ。そうすれば結果は出る」と直接アドバイスを受けていた。闘将も「たまたまうまくいっただけ」と言いながらも目尻を下げる。

 枡田は銀次とともに「星野チルドレン」の象徴的な存在だ。昨季は故障がちだった松井の代役として遊撃を守ることもあったが、79試合出場でチームワースト3位の10失策。指揮官も「よく俺も我慢したよ」と振り返る。それでも出場機会が増えたことで非凡な打撃センスは開花。規定打席未到達ながら4番も務め、打率・295、5本塁打、32打点を残した。

 「全試合出場&打率・350」を目標に掲げた今季は、昨季終盤に痛めた左膝が完治しておらず、4月中旬に早々と2軍落ち。さらに5月には死球で右手甲を骨折した。「腐りそうになったけど、“腐ったら負けや”と自分に言い聞かせて、何とか日々を送っていた」。地道なリハビリを経て今月から1軍に再昇格。ジョーンズ、マギーが打線に定着して先発出場の機会は少ないが、この日もファーストミット、内野、外野用の3つのグラブを持って試合前の練習に取り組んで、出場機会を求めている。

 目標はレギュラー、そしてリーグ優勝。星野監督の秘蔵っ子が活躍すれば、悲願の目標が成就する可能性は高くなる。

 ◆枡田 慎太郎(ますだ・しんたろう)1987年(昭62)7月8日、京都府生まれの26歳。小3で野球を始め、中3のときに京都田辺ボーイズで全国制覇。智弁学園では甲子園出場なし。05年高校生ドラフト4巡目で楽天入団。07年にイースタン優秀選手賞を獲得し、同年1軍初出場。昨季は79試合で打率・295、5本塁打、32打点。1メートル78、80キロ。右投げ左打ち。

 ≪9回決勝弾は枡田が初≫楽天がオリックスに勝ち、球宴前の首位折り返しを決めた。楽天の前半戦終了時の最高順位は昨季の3位で、首位での折り返しは球団初となった。この日は9回枡田のソロ本塁打で1―0勝利。過去の楽天の本塁打による1―0勝利は(フェルはフェルナンデス)
 年 月  日 相手  回  打 者
06 4 22  西 (7) 鉄 平
9 27  オ (8) 塩 川
07 8  1  ロ (5) フェル
11 5 11  日 (6) 鉄 平
5 31  広 (6) 松井稼
13 7 15  オ (9) 枡 田
 今回の枡田で6度目(5人目)。9回の決勝弾は枡田が初めてになる。これでチームは7月早くも5完封。11年7月に記録した月間最多完封に並んだ。

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