藤井 4104日ぶり完封 史上最長ブランク知らず「だいぶ前です」

[ 2013年7月14日 06:00 ]

<神・D>藤井は気合の投球で完封勝利

セ・リーグ DeNA6-0阪神

(7月13日 甲子園)
 完封の最長ブランク記録を塗り替えたなんて知らない。最後の打者、新井を遊ゴロに仕留めて小さくガッツポーズ。ヒーローインタビューで「いつ以来の完封?」と聞かれたDeNA・藤井は、こう答えた。

 「だいぶ前です。この甲子園でできて凄くうれしいです」

 間隔より球場にこだわった。高校野球の聖地には特別な思いがある。1995年、今治西3年のセンバツに出場。「伊予の怪腕」をアピールしたが、左肘を痛め、準決勝では投げられず決勝進出ならず。その故障が長引き、夏は登板できないまま愛媛大会で敗退した。

 ここ5試合勝ち星から遠ざかっていた。「チームに迷惑を掛けてきたから何とかしたい」という責任感と「夏の甲子園を経験したい」という思いが合体。どうしても勝ちたいマウンドだった。

 「あれが全て」と振り返るのは初回だ。1死から中前打を許した大和、2死後歩かせた鳥谷がいずれも次打者の初球に二盗を敢行。決して強肩とはいえない鶴岡が2度ともドンピシャ送球で刺してくれた。「警戒していたし、藤井がクイックで放ってくれたからね」と鶴岡。36歳の同い年バッテリーは、初回の2盗塁刺で流れをつかんだ。

 4回に5点を先制してもらって「投げ切らなきゃあ」と完投を目指し、8回から「ここまできたら…」。低めを意識して思い切り腕を振った結果が散発5安打、130球の完封につながった。ヤクルト時代の02年4月18日の横浜戦(神宮)以来4104日ぶり。球界最長ブランク完封である。

 阪神戦は無傷の3連勝。「虎キラー」は言った。「松坂(大輔)の凄さを体感できました」。最後を意味不明な言葉で締めたヒーロー。97年春夏連覇の最後をノーヒットノーランで締めくくった怪物右腕の何を感じたのだろうか。

 ▼DeNA・中畑監督 こんな素敵な勝ち方ができるんだね。一気に5点取って完封。秀悟(藤井)のときには点が入る。何か持っているのかな。

 ▼DeNA・金城(7試合ぶりに先発出場。4回に右越え4号3ラン)当てにいってゲッツーということのないよう強い打球を打ちたかった。入ってびっくり。

 ▽11年前の藤井 ヤクルトで背番号が23からエースナンバーの18に変更された。開幕投手を務め28試合に先発。4月18日横浜戦(神宮)で完封勝利を記録するなど、10勝9敗だった。勝利数こそ最多勝を獲得した前年(01年)の14勝に及ばなかったものの、195回2/3投球回、5完投、171奪三振、防御率3.08は全て前年を上回った。一方で、6月に日本で開催されたサッカーW杯の日本―ベルギー戦を観戦して発熱。ローテーションを2度回避するなどチームに迷惑をかけ、選手会に100万円を超える罰金を払った。

 ≪11年ぶり3度目≫藤井(D)が完封で今季5勝目。自身完封勝利はヤクルト時代の02年4月18日横浜戦以来、11年ぶり3度目となる。完封勝利のブランク年数では48年藤村富美男(神)、98年横田久則(西)と並ぶ最長タイ記録。日数では4104日ぶりで、藤村の4098日ぶりを上回る史上最長ブランクとなった。

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