春日部 エース「橋龍」首都圏ノーヒッター1号!

[ 2013年7月13日 06:00 ]

<妻沼・春日部>ノーヒットノーランを達成した春日部・橋本(手前中央)はナインに祝福され笑顔

埼玉大会2回戦 春日部6―0妻沼

(7月12日)
 第95回全国高校野球選手権大会(8月8日から15日間、甲子園)の地方大会は12日、23大会で183試合が行われた。埼玉大会では春日部の「橋龍」こと橋本龍之介投手(3年)が妻沼(めぬま)相手に首都圏では今夏一番乗りとなるノーヒットノーランを達成した。13日は47大会で390試合が行われる。

 「橋龍」といっても、第82、83代首相の橋本龍太郎氏ではない。9回、最後の打者を遊ゴロに打ち取ると橋本龍之介は小さくガッツポーズ。集まったナインに囲まれると、控えめに、恥ずかしそうに、それでも喜びを爆発させた。

 「4番の武藤君の(5回の)2打席目を抑えた時にまだノーヒットだったので、もう一回抑えたらいけるかなというのはあった」

 最後まで130キロ台中盤の直球で押し、許した走者は2回先頭の三ゴロ失策と7回2死からの死球の2人だけ。「(武藤君は)良い投手と知っていた。先に点を与えたくなかった」。この日は吹奏楽部、応援団ら約300人が一塁スタンドで声援を送った。「マウンドで声援は聞こえていた。そのくらい余裕があった」とマウンド上での冷静さも光り、今夏の首都圏で無安打無得点試合(参考記録を除く)一番乗りとなった。

 東大をはじめ国公立大学に毎年現役で60人以上の合格者を出す進学校にあって、橋本は1学期の文系クラスの中間テストで164人中12位。曽我理監督も「(野球に)取り組む姿勢はチームで一、二を争う子。あまり感情を表には出さないんですけど、本当にやるべきことをしっかりやる子です」と教え子の快挙を手放しで喜んだ。

 普段の練習時間は午後4時から7時30分。学校で定められたルールでそれ以外は練習できない。そして早朝や練習後に学校や近所のコミュニティールームなどに集まり自主勉強するという野球部。校内でも文武両道の模範として評価が高い。

 人生初の快挙を達成した秀才右腕。好きな言葉は「千日鍛錬、勝負一瞬」。長い時間をかけて練習をしてきても、勝負はほんの一瞬と解釈している。このまま勝ち進めば4回戦でセンバツ覇者・浦和学院と対戦する可能性もある。県内屈指の進学校が、一瞬の勝負で大番狂わせを目指す。

 ◆橋本 龍之介(はしもと・りゅうのすけ)1995年(平7)10月7日、埼玉県さいたま市(旧大宮市)生まれの17歳。小3から「大宮フレンド」で野球を始める。さいたま市立大砂土(おおさと)中で軟式野球部。春日部では1年秋からベンチ入り。最速135キロ。球種はスライダー、カーブ、チェンジアップ。好きな選手は中日・吉見。趣味は読書。好きな作家は海堂尊。1メートル76、80キロ。右投げ右打ち。

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