JX―ENEOS劇勝発進 元プロ対決は大久保監督に軍配

[ 2013年7月13日 06:00 ]

<JX-ENEOS・NTT西日本>10回2死一、二塁、JX-ENEOSの代打・山岡のサヨナラ打に大久保監督(右から2人目)が歓喜のジャンプ

第84回都市対抗野球1回戦 JX―ENEOS3―2NTT西日本

(7月12日 東京ドーム)
 開会式と1回戦1試合が行われ、前年優勝のJX―ENEOS(横浜市)が、延長10回に代打・山岡剛捕手(29)の左前打でNTT西日本(大阪市)に3―2でサヨナラ勝ち。苦しみながらも、JX―ENEOSの前身である日本石油が1961、62年に達成して以来となる51年ぶりの大会連覇へ向けスタートを切った。大久保秀昭監督(44)は佐々木誠監督(47)との元プロ監督対決を制し、大会最多の11度目の優勝へ弾みをつけた。大会は23日まで開催される。

 最後は王者の底力だった。2―2の延長10回2死一、二塁。代打・山岡の打球が三遊間を抜けると、二塁走者の代走・前田が快足を飛ばして三塁ベースを蹴る。本塁は明らかにアウトのタイミング。外側から回り込むと見せかけて、内側に切り返した。捕手のタッチをジャンプしながらかわし、右手でベースを掃いた。大久保監督は興奮状態で選手を出迎えた。

 「疲れましたね。でも、ウチが同点に追いついてからは負ける気はしなかったです」

 勝負を決めたのは、またしてもこの男だった。昨夏の都市対抗決勝で逆転3ランを放った8年目の山岡だ。本来は正捕手だが、6月に右肩を痛め、代打での出番に備えていた。追い込まれながらも、最後は136キロの直球を叩き「みんながつないでくれたチャンス。自分で決めようと思って打席に入った。(前田の生還は)イチロー選手みたいでしたね」。昨年の優勝インタビューで「野球の神様っているんだな、と思った」という名言を残した29歳は「これからも神様に来てもらえるように準備したい」と笑った。

 開幕カードで実現した佐々木監督との元プロ監督対決。大久保監督の采配がはまった。6回に先発・大城から三上―沼尾と継投し、無失点で試合を締めた。延長10回には6回に同点打を放っていた山崎に代わって山岡を代打で送り、二塁走者も代えていた。「僕の勝負勘。ここしかないと思った」。プロでの実績は向こうが上だが、社会人の指揮官として、経験の差を大舞台で見せた。

 昨年は都市対抗、日本選手権で優勝し2冠を達成。プレッシャーのかかる開幕戦だったが、どっしりと構えた。今大会前のオープン戦では負けが込んだが、大久保監督は「俺は負ける気がしない。おまえらを信じているから」と選手に語りかけた。半世紀ぶりの2連覇へ、昨年同様、苦しみながらの初戦突破。山岡は「楽な試合がないのは分かっている。しんどいからこそみんなで乗り切りたい。監督を信じてやるだけ」と、偉業に挑む決意を口にした。

 ▼JX―ENEOS・前田(好走塁でサヨナラの生還)クロスプレーになると思っていた。

 ◆大久保 秀昭(おおくぼ・ひであき)1969年(昭44)7月3日、神奈川県生まれの44歳。桐蔭学園から慶大に進み4年時には主将を務め春秋リーグ戦優勝。日本石油では都市対抗で2度優勝。96年アトランタ五輪では銀メダル獲得に貢献し、同年ドラフト6位で近鉄入り。通算83試合で打率.232、2本塁打、11打点。横浜2軍コーチを経て、06年からJX―ENEOSの監督。

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