【野球のツボ】大谷・藤浪…フレッシュな球宴 見どころはここだ

[ 2013年7月10日 18:20 ]

阪神・藤浪とともに、オールスターでの活躍が期待される日本ハム・大谷

 最後のプラスワン投票で堂林(広島)、内川(ソフトバンク)の出場が決まり、今年のオールスターの全陣容が決まった。メンバーを見て、まず感じるのは若返りだ。初出場はセが10人、パが12人。しかも新人がセパ合わせて6人。実にフレッシュな球宴となった。

 大谷(日本ハム)に藤浪(阪神)。そして菅野(巨人)、小川、石山(ともにヤクルト)、三嶋(DeNA)。これだけルーキーがそろうオールスターは記憶にない。プロ野球が大きな世代交代期を迎えた。そのことを象徴する3試合になりそうな気がする。

 注目するのは、やはり大谷と藤浪だ。高校で活躍し、そのままプロでも1年目から実績を残し、堂々とオールスター切符を獲得した。2人の対戦は交流戦でもあったが、夢舞台はまた雰囲気は違ってくる。互いにどんなパフォーマンスを見せて、ファンをうならせるのか。想像するだけでワクワクしてくる。

 先日、取材をした日本ハム・中田は「やっぱり魅力を感じるにはピッチャー・大谷の方です」と話していた。チームの勝ち負けを意識しなくてもいい場面で、これまでにないピッチングを見せてほしいと思う。もちろん、打者・大谷が、セを代表する投手たちをどう打つかも見逃せないところ。この2人に加えて、育成から頭角を表してきた西野(ロッテ)のプレーも見逃せないところだ。

 私もファン投票で2度、監督推薦で1度、オールスターを経験している。ファン投票のときも、もちろん嬉しかったが、監督推薦は同じポジション出身の広岡達朗さんに選んでいただいたことで「あの名手が自分を評価してくれるなんて」と感激した思い出は今も忘れられない。

 当時のパ・リーグベンチは福本、山田、門田といった常連ばかり。若手は緊張しながら、それでも何かを吸収しようと、ベテランの準備の仕方とかバットの選び方などに目を光らせていた。若返りした今回のオールスターは、和気あいあいとした雰囲気になるかもしれないが、いつもと違うベンチの顔ぶれ、独特の雰囲気は、後半戦に向けた刺激材料になるはずだ。夢舞台を経験した後、大谷と藤浪がどんな感想を語るのか。それが一番の楽しみだ。(前WBC日本代表コーチ)

 ◆高代 延博(たかしろ・のぶひろ)1954年5月27日生まれ、58歳。奈良県出身。智弁学園-法大-東芝-日本ハム-広島。引退後は広島、日本ハム、ロッテ、中日、韓国ハンファ、オリックスでコーチ。WBCでは09年、13年と2大会連続でコーチを務めた。

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2013年7月10日のニュース