マー君 12連勝40回無失点 秘密は奪三振率減少にあった

[ 2013年7月10日 06:00 ]

<楽・日>お立ち台で乃木坂46と「バーン」ポーズする田中とマギー

パ・リーグ 楽天5-0日本ハム

(7月9日 東京D)
 点を取られる気がしない。楽天の田中将大投手(24)が9日の日本ハム戦で、今季2度目の完封勝利。連続イニング無失点記録を40に伸ばし、パ・リーグでは稲尾和久(西鉄)を抜き4位に浮上した。これで開幕からの連勝を12に伸ばし、2年越しの16連勝をマーク。三木谷浩史オーナー(48)も観戦に訪れた一戦で、球界のエースとしての力を存分に見せつけた。

 1球に田中の奥深さが凝縮されていた。7回2死一塁。2四死球で迎えた大谷との3打席目。初球の外角146キロツーシームで遊ゴロに仕留めた。大谷は「そこまで内を攻められて外。打たされた感じ。バットの先でした」と完敗を認めた。一方の田中は「ツーシームは序盤から使ってましたよ」とあっさり。役者が違った。

 2打席目までに投じた8球のうち6球が内角、2球は外角に大きく外れた球だった。初めて投げた外角ストライクゾーンへの球。だが外にわずかに動かした。大谷は打てると思って強振したが、結果は凡打。5回まで80球を要しながら、6回以降の4イニングは36球。打者31人のうち2球目までに2ボールとしたのは1度だけだ。9回に大引に右翼フェンス際への当たりを打たれ「ちょっとびっくりした」と苦笑いを浮かべたが、散発4安打の116球に田中の技術が詰まっていた。

 これで連続イニング無失点記録を40に伸ばした。「鉄腕」稲尾をも超え、リーグ単独4位に躍り出た。「いつもゼロに抑えるために投げている。その中でみなさんに楽しんでもらえれば」とそっけないが、打者心理を読み切る洞察力は磨きがかかっている。それを証明するのが、三振でのアウト奪取率だ。全アウトのうち、11年は35・5%に上った比率が、昨年の32・6%を経て、今年は25・9%まで減った。時には力で、時には投球術で。田中は、1球で打ち取ることと、奪三振について「どちらも狙ってできればいい」と語る。

 開幕から無傷の12連勝はプロ野球史上9人目。通算勝率・713は、1000投球回以上で歴代1位に相当し、ダルビッシュ(レンジャーズ)の・710をも上回る。球宴前の9連戦初戦。チームを3連勝に導いた。

 この日は「楽天グループデーお客様感謝祭2013」と冠した年に1度の東京ドームの主催試合。三木谷オーナーも観戦する中、主催試合では球団史上最多の4万3683人が集まった。お立ち台では、冷静なマウンドさばきとは別人のように右腕はテンションを上げた。

 「年に1回で、最高の試合ができればと思っていた。ジャイアンツの阿部さんの言葉を借りて。みなさん、最高で~す」

 投球同様、ファンの盛り上げ方も知っている。

 ▼楽天・星野監督 田中は気合が入っていた。東京ドームだし、気を抜いたら(スタンドに)持って行かれる。前半から力を入れていた。

 ≪パ歴代単独4位≫田中は6月9日巨人戦の初回から40イニング連続無失点とし、パ歴代単独4位に浮上。次回登板で7イニング以上無失点を続ければ、ダルビッシュ(日)を抜いてパ単独2位となる。なおプロ野球記録は58年金田(国鉄)の64回1/3。

 ≪開幕12連勝は9人目≫田中(楽)が完封で今季無傷の12勝目。開幕12連勝は、05年に斉藤(ソ)がプロ野球タイ記録の15連勝をマークして以来9人目となった。また昨季からは16連勝。連続シーズンを含む最多連勝記録は51~52年松田(巨)と57年稲尾(西鉄)の20連勝で、16連勝以上は03年に同じ斉藤(ダイエー)が16連勝して以来8人目になる。

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