マエケン 35日ぶり勝利は今季初完封「これでゆっくり眠れる」

[ 2013年7月1日 06:00 ]

<神・広>2回2死一、二塁、前田健が左前適時打を放つ

セ・リーグ 広島2-0阪神

(6月30日 甲子園)
 本来の振りかぶる投球をこの日は封印した。広島・前田健は「小さい頃から記憶にない」と25歳2カ月にしてノーワインドアップに変え、5月26日の楽天戦(マツダ)以来、約1カ月ぶりとなる6勝目を今季初完封で手にした。

 「本当に久しぶりに勝った。長かった。悪いのが続き過ぎて何か変えるしかないと思った。(ノーワインドアップで)フォームが安定するとか、そういうのはなかったが、力が抜けるという感覚はあった」

 不振のトンネルを抜けた。余計な力みが取れたことで、特に右打者への外角のスライダーがさえ渡り、9奪三振のうちマートン、新井、新井良で計7を数えた。9回無死一、二塁のピンチは3人を何とか打たせて取り、9安打を浴びながらも要所を締めた。今季最多の135球で投げ抜き、無四球完封は実に4年ぶりだった。

 守備でも3回無死一塁で素早いゴロ処理で犠打を阻止した。打撃でも貴重な追加点を叩き出した2回の適時打など2安打。修正能力とともに投手としての総合力の高さを見せつけた。

 この日、ネット裏ではメジャー6球団のスカウト陣が視察。前田健の海外FA権取得は早くても17年シーズン中だが、ツインズの高橋幸次スカウトは「気持ちが強い。投球術もそうだけど、メンタル面がいい。注目していかないと」と評した。

 最後に前田健は言った。「起きた時も気持ちが重いし、球場に行くときもマイナス思考になることが多かった。これでゆっくり眠れる」。ちゃめっ気たっぷりに笑ったが、それは偽らざる本音でもあった。

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