マートン 雄叫びV打「甲子園、めっちゃ好きやねん」

[ 2013年6月29日 06:00 ]

<神・広>8回2死二、三塁、マートンは中前に逆転適時打を放つ

セ・リーグ 阪神7-4広島

(6月28日 甲子園)
 頼りになる4番が大逆転勝利の立役者だ。3―4の8回に阪神・マット・マートン外野手(31)が逆転の2点中前打。0―3の7回にも1死二塁から中前適時打を放った。26日に来日した両親を甲子園に招待した中、勝利をプレゼント。お立ち台では日本語で「甲子園、メッチャ、好きやねん」と叫んで喜びを爆発させた。

 追撃ムードを作ったのがマートンなら、試合を決めたのもマートンだった。19日ぶりに戻ってきた聖地が、大逆転劇に酔いしれた。

 「あの場面は真っすぐを狙っていた。カウント2(ストライク)―1(ボール)から高めの真っすぐを打てなかった。2ストライクを取られたから真っすぐを大振りしないようにと。ストライクのボールがきたからなんとか反応できた」

 体が反応した。相手のミスもあって1点差に迫った8回2死二、三塁。追い込まれながらも、広島4番手・ミコライオが投じた6球目、138キロのスライダーを中前に運んだ。6回まで沈黙していたとは思えない。この回の6得点につなげた。7回には1死二塁の場面で低めのスライダーを中前にはじき返し、追い上げムードを演出。「大和が初ヒットを打ってくれて、塁に出てくれなかったら自分の打点もなかった。野球はチームプレー。ランナーを返すことができて良かった」。真っ先に大和に感謝した。

 ともに戦う仲間を大切にする男だ。札幌遠征中の12日、鎌田トレーナーに第一子となる長女が誕生したことを知ると、ナイター前には、札幌市内の病院を土屋トレーナーと一緒にサプライズ訪問した。花束とゴディバのチョコレートの詰め合わせを贈り、優しい笑顔で赤ちゃんと記念撮影。自分のことのように仲間の記念日を喜んだ。3人の子を持つ父は、子を思う親の気持ちもよくわかる。感動を一緒に分かち合いたかった。

 「甲子園、メッチャ、好きやねん。本当に興奮しています。アメリカからきょうは両親も来ています。すばらしい勝ち方ができて良かった」

 2日前に来日したばかりの両親に見守られたお立ち台。満面の笑みで大観衆に手を振った。

 「両親が球場に来てくれたのはもちろん嬉しいこと。でも、自分としては普段通りプレーを心がけた。甲子園でプレーすることはすごく楽しい。その中でプレーできて、勝てたことは本当に嬉しい」

 勝利だけを目指し、どんな状況も冷静にバットを振った。そんな頼れる男こそ、逆転劇のヒーローにふさわしかった。

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