桑田氏 加藤コミ尋問に意欲 第三者機関特別アドバイザー就任

[ 2013年6月26日 06:00 ]

統一球問題の第三者調査・検証委員会の特別アドバイザー就任が決まり会見する桑田氏

 日本野球機構(NPB)は25日、統一球を無断変更した問題を検証する第三者機関「統一球問題における有識者による第三者調査・検証委員会」の設置を発表。特別アドバイザーに元巨人、パイレーツ投手の桑田真澄氏(45)が就任した。委員には元最高裁判事の那須弘平氏(71)、佐々木善三氏(60)、米正剛氏(58)の3人の弁護士が決まった。桑田氏は都内で会見を開き、加藤良三コミッショナー(71)への直接聴取も希望した。

 桑田氏は本気だった。「コミッショナーにも詳しく真意を聞きたい」ときっぱり言った。委員の弁護士3人はボールの専門的な知識が乏しいことから、NPBは「ボールに関してのアドバイザー」と役割を説明したが、桑田氏は自ら調査に乗り出すことを希望した。

 今回の問題については「ファンをがっかりさせたことを、野球界は反省しなければならない」と訴えた。その上で「コミッショナーの責任を問われているが、それだけ実権を握ってやっている組織なのか」と指摘。NPBの体質に原因があるとした。

 一方、統一球自体については「我々の時代はボールは何種類もあり、投げにくかった。同じ条件になったことは素晴らしい」と評価。反発係数の変更も「個人的にはそれで練習法を変えることはないと思う」と、影響は少ないと主張した。

 会見場には練習着で現れた。この日は午前8時から東京都文京区のグラウンドで特別コーチを務める東大野球部を指導していた。NPBが午前11時30分に特別アドバイザー就任を公表すると、自ら会見を開くことを申し出たという。

 人選を担当したセ・リーグの鈴木清明理事長(広島球団本部長)とパ・リーグの村山良雄理事長(オリックス球団本部長)からオファーを受け、快諾。現役時の実績に加え、引退後は早大大学院で学び、スポーツ界の体罰問題にも意見を表明するなど、見識の広さが抜てきの理由となった。

 「2歳から野球をやってきて、死ぬまで野球に携わっていく人間。球界のピンチをチャンスに変えたい」。委員会は28日にも第1回会合を開き、7月10日の12球団オーナー会議までに中間報告を行い、7月末をめどに最終報告を行う。桑田氏の「登板」で、どこまでNPBの体質にメスを入れられるか。その手腕が注目される。

 ≪引退後の桑田氏≫

 ▼10年3月 早稲田大学大学院スポーツ科学研究科を首席で卒業。修士論文で最優秀論文賞を受賞。

 ▼同6月 少年野球の指導者を育成する「アミーチ・デル・クオーレ」を設立。

 ▼10年9月 自ら田植えした福岡のブランド米「夢つくし」の稲の収穫。一般向けにも限定販売された。

 ▼11年9月 福島県復興支援交流戦で、福島県社会人野球県北選抜を相手に2回無失点。降板後は遊撃に就いた。

 ▼12年8月 宮城県石巻市で行われた大リーグのイベント「MLBロードショー・イン・石巻市」に参加。

 ▼同9月 ロシアのハバロフスクで野球普及のための講習会に登場。

 ▼13年1月 東大硬式野球部の特別コーチに就任。

 ▼同2月 大阪市の教員向け研修会で講師を務める。「体罰はひきょうな行為」と体罰根絶を訴えた。

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2013年6月26日のニュース