ライアン小川が完封新人一番乗り 球宴出場熱望

[ 2013年6月23日 06:00 ]

<広・ヤ>プロ初完封勝利を挙げ、ファンの声援に応える小川

セ・リーグ ヤクルト3-0広島

(6月22日 マツダ)
 ヤクルトの小川泰弘投手(23)が22日、広島戦で114球を投げ、9回を5安打5三振無失点。新人で完封一番乗りを果たし、ハーラートップの巨人・菅野智之投手(23)に並ぶ7勝目を挙げた。チームの完投も63試合目で初めて。1メートル71と小柄な右腕には、球の角度がない投球を逆に生かした速球がある。球宴出場、そして最多勝争いと夢は広がる。

 最終回。まずは高くだ。小川は先頭の3番・丸を143キロ直球でボールの下を叩かせた。平凡な右飛。今度は低くだ。4番エルドレッドをカットボールで二ゴロ。5番・松山も低めのカットボールで二飛に仕留めた。初勝利を挙げたマツダスタジアムで、今度は新人完封一番乗りを果たした。

 「(うれしさよりも)ホッとしました。毎試合最後まで投げるという目標がなかなかできなかったので。ようやくブルペンの人も休んで、完投、完封ができた」

 しかも、リーグトップの7勝目。勝ち続ける理由がある。1メートル71で球に角度はつかないが、それを逆に利用している。小柄な上、さらに低い位置から投げる。この日投げ合った1メートル83の広島・大竹と同じ位置まで足を広げているからだ。右足は足首から膝まで長く、黒く、ベットリと土がつく。傾斜がきついとされるマツダスタジアムでも、上体を深く沈み込ませて投げ続けた結果だ。

 「打者には出どころが見にくいと思うし、武器だと思う」。最速148キロ。低い位置から球が出ることで、打者からすれば低めはボールの軌道に、高めはホップしてくる感覚になる。松坂がレッドソックス時代に大柄な大リーガーに対し、右肘の位置を下げ、低い位置から球が出る形を模索したが、小川はそれを実践する。ノーラン・ライアンを参考にしたダイナミックな投球フォームが目を引くが、特異な球の出どころが最大の武器。深く沈みこむフォームは強じんな下半身があればこそ。太腿は65センチで元スピードスケートの長野五輪金メダリストの清水宏保氏と同じサイズである。

 1学年上の菅野(巨人)と新人王争いどころか、最多勝争いを演じる。「新人王争いというよりも、一戦一戦大事に自分のできることをやるのが大前提。ルーキーですけど、グラウンドに入ったら関係ない。全部勝ちにいく」。強気な姿勢も小川の魅力だ。球宴はファン投票での選出は難しいが、監督推薦での選出は有力。「チャンスがあるなら出たい。球宴といえば、藤川さん(当時阪神)の全球直球勝負が印象に残っている」。目を輝かせる小川も魅力だ。

 ▼ヤクルト・荒木投手コーチ 内外角を含めた制球が良かった。序盤はリズムだけが悪かったが、徐々に自分のペースを出してくれた。最後まで集中力があった。

 ▼ヤクルト・中村(小川と今季9試合目のバッテリーで6勝0敗)小川本来の速球が来ていたし、ボール球で誘うこともできた。

 ▼ヤクルト・小川監督 小川は打者の振っている感じを見るとボールの切れもあったと思う。点を取られるまで代えるつもりはなかった。

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2013年6月23日のニュース