3番大谷からマエケン攻略二塁打 高卒新人では張本、清原、松井以来

[ 2013年6月16日 06:00 ]

<日・広>8回1死一塁、前田健(手前)から左中間二塁打を放つ日本ハム・大谷

交流戦 日本ハム5-1広島

(6月15日 札幌D)
 やっと来た。前田健の高めに浮いたチェンジアップを見逃さなかった。同点の8回、一挙4得点のお膳立てをしたのが18歳で3番に座った日本ハム・大谷だった。

 「外角と内角にきっちり投げ分ける。直球はファウルになるし、カーブやスライダーの精度も高い。けん制も見たことがないくらい早い。最初は手も足も出なかったけど、第4打席でやっと浮いた球を打てた」

 1死一塁から得意とする外角高めをはじき返し、打球を左中間へ運んだ。中堅から左翼は大谷にとって安打を量産してきたゾーンで、まさに「エリア11」といえる。この二塁打で好機を広げると、稲葉の左翼線二塁打で3点目のホームも踏んだ。

 球場の雰囲気をガラリと変えた。この日はプロ入りして初めて「3番・右翼」での先発出場。高卒新人の3番スタメンは、球団では東映時代の59年張本勲(スポニチ本紙評論家)以来54年ぶり、球界全体でも93年・松井秀喜(巨人)以来20年ぶりの抜てきといえた。初回、3回はいずれもチャンスで三振に倒れた。「いい展開にしていればもっと楽な試合だったと申し訳ない気持ち」と反省するが、それをすぐに糧として実戦に生かせるのも大谷の強み。栗山監督も「対応力の高さを見せてくれたね」と感心した。

 11日のイースタン・リーグ、巨人戦(鎌ケ谷)に先発し7回5安打2失点。107球を投げたことから、翌12日からの阪神2連戦(札幌ドーム)では先発を外れた。疲労を考慮し、12日は打撃練習も回避したが、練習前には一人で黙々とバットを振り続け、渡辺打撃コーチを「あいつは本当に野球が好き」と驚かせた。16日も野手で先発出場し、初めて打って投げることになる18日の広島戦(マツダ)先発に備える。「きょうを振り返って自分なりに考えていきたい」。日本最高投手の投球を、打席から肌で感じることができたのは、投手としても打者としても貴重な経験となった。

 ≪主な高卒新人3番≫

 ☆59年張本勲(浪商→東映) 6番で開幕スタメンに座り、3番では3試合の出場。最多は78試合で出場した4番。1年目成績は打率・275、13本塁打、57打点。

 ☆86年清原和博(PL学園→西武) 8番から徐々に打順を上げ、9月11日阪急戦で初の3番に。以降16試合で打率・379、6本塁打と活躍し、10月には4番に座った。同年打率・304、31本塁打、78打点。

 ☆93年松井秀喜(星稜→巨人) 8月に7番でスタメンをつかみ、9月12日阪神戦からシーズン終了までは3番に固定された。同年打率・223、11本塁打、27打点。

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