菅野 完投勝ち新人1号 セ単独トップ7勝は20勝上原と同ペース

[ 2013年6月16日 06:00 ]

<ソ・巨>プロ初完投勝利の巨人・菅野はファンの声援に応える

交流戦 巨人6-1ソフトバンク

(6月15日 ヤフオクD)
 20勝だって狙える。巨人・菅野智之投手(23)が15日、ソフトバンク戦に先発し、7安打1失点完投でリーグ単独トップの7勝目を飾った。完封目前の9回に1点を失ったが、完投勝利は今季両リーグを通じ新人一番乗り。今季3度目の2桁となる11奪三振は球団ルーキーとしては史上3人目で、84奪三振は両リーグのトップを走る。「ドクターK」と化した菅野は、20勝を挙げた99年上原浩治(レッドソックス)と同じペースで白星を重ねている。

 4回1死二塁、菅野が投じた47球目だった。左打者に対し、外角のボールゾーンからストライクへ戻ってくるスライダー。打率・404で交流戦の打率トップに立つ長谷川から奪った見逃しの3球三振。バッテリーの気持ちが一つになった。

 菅野「うまくコントロールできていた。左打者には内角にカットボールが決まっていたので、使える幅が、試合の中でも広がっていった。次につながると思います」

 阿部「凄くうまく決まったから俺もどんどん要求しちゃった。もともと左へのカットがいいから凄く幅が広がる」

 打者の虚を突き、巻き込むようにベースをかすめる「外スラ」は、裏口を通す軌道から大リーグでは「バックドア」と呼ばれる。菅野は4月20日の広島戦(マツダ)で初めて投げ、その後は勝負球に使ったのは1試合1球程度だった。制球が難しく、甘く入ると失投になるが、7、9回に2打席続けてラヘアから見逃し三振を奪ったのもこの球だった。本格解禁したバックドアを9球投げ、安打されたのは本多への1球だけ。ボール判定は一度もなかった。

 さらに「バックドア」の残像を利用し、7回の長谷川との対決では外への意識を生かし、内角のボール球で腰をのけぞらせ空振り三振を奪った。横幅43・2センチのホームベースを大きく見せた。「カウント球にも勝負球にも使えた。菅野はブルペンでも常にやっている」と川口投手総合コーチ。ブルペンでの投球練習から、投球軌道の角度を意識してボール半個分の差を求めている。「角度を変えれば同じ球種でも軌道は違う。打者は球種は想定できても、軌道までは想定できない」と秦バッテリーコーチも続けた。試合前まで右打者への被打率・203に対し、左が同・241。菅野にとって左打者対策は課題だったが、新たな選択肢が増えた。両リーグトップの84三振を誇るが、この投球ができれば、その数はさらに増していく。

 この日は11奪三振で、球団新人では99年上原、03年木佐貫(日本ハム)以来3人目のシーズン3度の2桁奪三振となった。さらに7勝目でリーグ単独トップにも躍り出た。99年に20勝で新人王を獲得した上原が7勝目を挙げたのは6月13日で、ペースも遜色ない。プロ初完封を9回2死から逃し、菅野の第一声は「悔しいですね」だった。それでもすぐに「次の目標にすればいい。まだ7勝、ここで満足することはない」と前を向いた。何より大きな手応えが右腕に残っていた。

 ▼巨人・原監督 先発投手として安定感が出てきたし、たくましさが出てきた。いい投球だった、見事だったと思います。

 ≪18年ぶり3人目≫菅野(巨)がプロ初完投勝利でリーグ単独トップの7勝目。この日はソフトバンク打線から11三振を奪った。巨人の新人でプロ初完投勝利試合に2桁奪取は79年8月14日阪神戦の江川、95年7月9日阪神戦の河原がともに10三振を奪って以来18年ぶり3人目だ。これで今季の2桁奪三振は4月13日ヤクルト戦10個、5月18日西武戦12個に次ぎ3度目。巨人の新人で3度以上の2桁奪三振は03年木佐貫6度、99年上原3度に次ぎ3人目だが、3カ月連続は菅野が初めて。また交流戦で新人の2桁奪三振2度も菅野が初めてになった。

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