加藤コミッショナー 退任へ 臨時オーナー会議で責任追及必至

[ 2013年6月14日 06:00 ]

12球団の選手たちが日本中のプロ野球ファンが“無責任会見”に不信感を持っている加藤コミッショナー

 プロ野球の統一球を飛びやすく変更しながら公表しなかった問題で、加藤良三コミッショナー(71)が問題の責任を取って退任する可能性が浮上した。13日、一部の球団幹部が明らかにした。事実を隠蔽(いんぺい)する意図はなかったなどと主張した12日の同コミッショナーの会見に、12球団の関係者からは不満の声が噴出。臨時オーナー会議を招集して責任問題を追及する方向で、退任を求める動きが強まるのは必至の情勢となった。また、NPBの下田邦夫事務局長(59)が辞任する可能性が高まった。

 謝罪だけに終わった加藤コミッショナーの会見から一夜明け、球界内の不満の声は球界のトップに集中した。そのほとんどが問題の責任を問うものだ。ある球団幹部は厳しい口調で言った。

 「コミッショナーの言動が12球団の総意と認識されるのは困る。昨夜(12日)の会見での対応は目に余るし、オーナー会議で責任問題に発展するのではないか」。会見で同コミッショナーは、統一球の変更を知らされていなかったとし、公表しなかったことには「批判には値するが、隠蔽ではない」と言い切った。この主張に球界の最高責任者としてあまりに無責任と指摘する声が相次いだ。知らなかったのが事実なら日本野球機構(NPB)が統括機関として機能していないことになり、その責任も問われる。別の球団幹部は「7月の前に臨時オーナー会議を開くことになるのでは」とした。

 今年の定例オーナー会議は7月10日の予定。しかし、球界内に、緊急に議論すべき問題が生じた場合は議長(現在は宮内義彦議長=オリックスオーナー)が臨時で招集することができる。12球団の関係者は、今回の統一球の問題はオーナー会議の議題として取り上げるべき案件だとそろって指摘した。今月中にも臨時オーナー会議が招集される可能性は高く、その席で加藤コミッショナーが最高責任者として問題について責任を追及されることは間違いない。

 野球協約では「コミッショナーの任免はオーナー会議が行う」とされている。また、一方で「任期を2年とし(中略)正当な理由なく任期中に解任されない」とある。今回の問題は、コミッショナー解任の正当な理由に当たるかどうか。全ては12球団のオーナーの判断に委ねられるが、昨年7月のオーナー会議で再任が承認された際には複数球団が事前に反対した経緯もある。11年の東日本大震災による開幕延期問題でもその指導力を問う声が上がっており、各オーナーに不信感が募っているのも確かだ。

 会見で辞任の意思がないことも表明した加藤コミッショナー。14日には臨時代表者会議に出席するが、同コミッショナーの責任を問う声は球界で強まるばかりだ。

 ≪出席した全員の4分の3以上の同意が必要≫野球協約は第2章第5条(選任)で「コミッショナーの任免はオーナー会議が行う」と定めている。オーナー会議の議決には出席した全員の4分の3以上の同意が必要。また同第6条(任期及び身分)では「コミッショナーは、正当な理由なく任期中に解任されない」としている。

 ▼ソフトバンク・王貞治球団会長 野球界にブレーキをかけるような話じゃなく、ファンに楽しんでもらわないと。シーズンは3分の1終わってるし、選手は試合に集中してほしい。

 ≪過去の加藤コミッショナー発言≫

 ☆震災後の開幕 東日本大震災後、電力問題などから11年の開幕時期について議論が起こる中、「野球に誇りを持ってるし、今野球するのが不謹慎とは思わない」と発言。

 ☆統一球 11年の本塁打数が前年比で666本減少も「検証を怠らず、前に進む」と総括。12年4月、選手会の統一球見直しの申し入れに「大リーグのボールより日本の統一球の方が飛ばないという認識はない。選手にはプライドを持ってやってほしい」と話した。

 ☆WBC監督 第3回WBCの監督選考を一任され「現場から離れていては難しい。現役の重要性が認識されている」と現役監督を軸に人選もソフトバンク・秋山監督の説得に失敗。最終的に山本浩二氏が就任した。

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