桑田イズム着々!東大が勝った 新人戦連敗15で止めた

[ 2013年6月4日 06:00 ]

<早大・東大>06年春以来の新人戦勝利を挙げた東大ナイン

東京六大学野球 新人戦第1日 東大4―1早大

(6月3日 神宮)
 ついに、ついに勝った。1回戦2試合が行われ、東大が早大を4―1で下し、06年春の1勝を最後に続いていた新人戦での連敗を15で止めた。打線が初回に3点を先制すると、先発の辰亥由崇(たつい・よしたか)投手(2年)が8回を6安打1失点の好投。今春リーグ戦では10戦全敗に終わった東大だが元巨人の桑田真澄氏(45)が特別コーチに就任後、公式戦初勝利となった。4日の準決勝では明大と対戦する。

 9回2死。2年生右腕の関が早大・中沢を二ゴロに仕留め、試合は終わった。4―1での勝利。東大ナインは信じられないような表情を浮かべる。それでも次の瞬間、全員がグラウンド上で跳びはねた。

 「勝つ味を知ったことは、物凄く大きな意味がある。この成功体験で強くなると思う」

 1、2年生による新人戦の監督は学生コーチが務めるのが慣例で、この日はベンチに入らずスタンドから見届けた浜田一志監督は、しみじみとした口調で振り返った。

 今年1月に元巨人の桑田真澄氏が特別コーチに就任した。「野球界の常識は非常識」という教えに、赤門軍団は目を丸くした。例えば、投手は軸足で立った際に、両肩を平行に保つことがいいフォームとされてきたが、桑田氏は「僕の場合は右肩を下げて投げる方がいい球がいく。右肩をちょっと落とすことによって、右肩が残ると、打者からも見にくい。球にスピンもかけられるので、変化球も縦に落とすことができる」と熱弁を振るった。今春リーグ戦では10連敗を喫し、10年秋から2引き分けを挟んで56連敗中。それでも桑田イズムは選手の中に確実に浸透している。

 先発の辰亥は、きれいな回転の球を投げなかった。相手が嫌がる球筋で、8回まで1失点。「(後半は)相手が必死になってくるので、前半よりも締めていかないと、と思って投げた」。桑田氏の教え通り、ブルペンではまず外角低めに直球を10球投げ込んできた。初めは5球程度しか制球できなかったが、今では7、8球が決まる。「きょうは制球が良かった」と、7人の甲子園経験者がスタメンに並んだ早大打線を120キロ台の直球で封じた。

 2年生以下にとっては公式戦初白星とあって、試合後のロッカールームで大きな拍手がわき起こった。その中、辰亥はアイシングを終えると「授業があるので」と、最後は東大生らしく足早に英語の授業に向かった。神宮で勝利の味を知ったナイン。秋のリーグ戦が待ち遠しくなった。

 ▼東大特別コーチ桑田真澄氏 良かった。勝てたことは大きい。きのう、東京大学の練習に顔を出した。きょう投げた辰亥君、関君も含め投手陣に話をした。心技体、心の部分、精神面の話ですね。自信を持って投げないと、いい投球はできない。自信をつけるためには、量や時間を求めるのではなく、合理的かつ効率的な練習をするしかない。それを継続していくということ。東京大学の選手たちなら、それができると思う。まだまだ、これからです。

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2013年6月4日のニュース