虎0・5差に迫った!9番降格大和が燃えたV打

[ 2013年6月2日 06:00 ]

<オ・神>7回表2死二、三塁、2点適時二塁打を放ち、塁上でガッツポーズの大和

交流戦 阪神2-0オリックス

(6月1日 京セラD)
 阪神がセ・リーグ首位の巨人に0・5ゲーム差と迫った。1日のオリックス戦(京セラドーム)で大和内野手(25)が、0―0の7回に決勝2点二塁打。連敗を3で止め、4連敗の巨人との差を詰めた。4試合無安打で今季初めて2番から9番に下がった大和は、悔しさを晴らす3二塁打。2日、藤浪をソフトバンク戦(ヤフオクドーム)の先発に立てて首位奪取に挑む。

 あふれ出るほどの熱い思いを乗せた打球が、左翼線へ抜けた。大和は走り出すと、叫んだ。「ヨッシャー!!」。到達した二塁上で両手をパチーンと叩き、自軍の三塁ベンチを向いて右拳を突き上げた。苦しみを乗り越えた男がチームに価値ある勝利を引き寄せた。

 0―0の7回2死二、三塁。フルカウントから金子が投じた7球目、126キロのチェンジアップをジャストミートした。2者を還す二塁打。9試合ぶりの打点、11試合ぶりの適時打だった。凡打と思われた飛球が見合うようにした右翼手、中堅手、二塁手の間に落ちた第1打席。フラフラ上がった打球が右翼線上に落ちた第2打席。「いいイメージで打席に入れました」と強運継続を信じて、結果を出した。

 燃えていた。打ちたかった。今季初めて2番から9番に下がった。

 「9番に落とされたというのもありますけど、また、9番で使ってもらっているという思いもありました。ベンチの期待に応えたかった」

 長い、長い不振だ。5月25日の日本ハム戦でマートンのサヨナラ打につなげた遊撃内野安打が、29打席ぶりの安打。勝利の後には感極まって涙した。しかし、翌26日から4試合連続無安打と再びトンネルへ。その間、3犠打こそ決めたが、心が晴れる日はなかった。

 3二塁打で今季7度目の猛打賞。何度も直接指導を受けた和田監督に恩返しできた。そして…。「“つよぽん”が打席に立つ前に『悔しさを晴らしてこい』とアドバイスをくださり、とても勇気づけられました」。開幕から1、2番コンビを組んできた先輩・西岡からは、7回の打席前にハッパをかけられていた。

 実は、昨季から愛用する33・5インチ、900グラムのバットは西岡モデル。移籍後にそれを伝えると、「あ、そうなん?」と軽くいなされたというが、大和自身は強い絆を感じてやまない。感謝を込めた、お立ち台での“つよぽん”呼ばわり。西岡は「興奮していたんじゃないですか。後で会ったら、しばいときます」と冗談めかして笑った。

 連敗を止め、関西ダービーの今季全敗を阻止した。「最後のヒットが自分の中ではすごくいい形だったので、続けていけるようにしたい」。涙はない。照れくさそうに見せた人なつっこい笑顔が、大和にはよく似合っていた。

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2013年6月2日のニュース