浅村 新4番2発、サヨナラ弾「自分は“ただの4番目”なんで」

[ 2013年6月1日 06:00 ]

<西・ヤ>9回2死一、三塁、サヨナラ3ランを放ちガッツポーズをする西武・浅村

交流戦 西武4-1ヤクルト

(5月31日 西武D)
 正真正銘、まさに「4番」の打球だった。同点の9回2死一、三塁。浅村のバットが描いた勝利への軌跡が、西武ファンが待つ左翼席に飛び込んだ。2打席連発、そしてサヨナラの7号3ラン。ナインから大量の水をかけられ、もみくちゃにされたヒーローは、歓喜のお立ち台に上がった。

 「あの場面は自分で決めようと思っていた。ホントにうれしい」。そして、こう続けてファンの笑いを誘った。「4番?居心地がそんな良くないので…」。浅村は照れながら、それでも誇らしげな笑みを浮かべた。

 「ライオンズの4番打者は、凄いホームランバッターばかりというイメージ。自分なんかでいいのかな、という戸惑いがかなりあって…」。29日のDeNA戦(横浜)に続き、2試合連続の4番スタメン出場。初回1死一、三塁など、3打席目まで全て得点圏に走者を背負った場面で凡退した。打線の軸。仕事ができない悔しさ。そんな思いを0―0の8回に晴らした。中堅左への先制6号ソロ。そして「最後にやっと打ててホッとした」と11年6月24日の楽天戦(県営大宮)以来、自身2本目のサヨナラ弾だ。

 浅村自身は今回の4番で、プロ5年目で1~9番までの全ての打順でスタメンを経験することになった。本来の4番であり、不動の主砲・中村は昨年10月に左膝の手術を受け、いまだ2軍でリハビリ中。母校・大阪桐蔭の、そして4番打者の先輩。この日の試合前には、西武ドームを訪れた中村から選手ロッカーで「おっ、4番の浅村や」と声を掛けられた。おかわり君流の激励。「やめてくださいよ!」と返した浅村だったが、思いはしっかりと受け止めた。

 「自分は“ただの4番目”なんで。この先もずっと打つわけじゃないし。ただ、監督が使ってくれる意味を理解して、打っていきたいと思う」。今季、4番を打つのは浅村が5人目。渡辺監督は「雨のち晴れ、という感じだね。最後は集中力だと思う。よく打った」と褒めた。チームにとって今季初のサヨナラ勝ち。若き4番打者が、歓喜の夜を運んできた。

 ≪1試合2本塁打は自身初≫浅村(西)が8回に先制、9回にはサヨナラの2ホーマー。1試合2本塁打は自身初で、サヨナラ本塁打は11年6月24日の楽天戦以来2本目になった。また、西武打者の交流戦サヨナラアーチは05年5月10日中日戦のカブレラ以来2本目だ。なお、チームでサヨナラを含む殊勲本塁打2本は、82年9月22日の近鉄戦で、テリーが鈴木啓から9回に同点、10回にサヨナラと連続で打って以来31年ぶりとなった。

 ≪西武の主な4番≫

 ☆初代 79年の西武初年度の開幕4番は阪神から移籍の田淵幸一。この年77試合で務め、引退する84年まで429試合で4番に座った。

 ☆AK砲 86年途中から秋山幸二で同年109試合。翌87年は2年目の清原和博が65試合、秋山は42試合。以降も清原の方が多く担う。

 ☆バズーカ砲 01年加入のアレックス・カブレラが139試合で49本塁打。02年は127試合で4番を打ち、日本記録に並ぶ55本塁打。

 ☆おかわり 08年に初の本塁打王となった中村剛也は126試合で任された09年から不動の4番。09、11、12年も本塁打王に輝く。

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2013年6月1日のニュース