「人気のセ、実力のパ」は本当!?前半戦を終えて対戦成績は…

[ 2013年5月30日 14:50 ]

<神・楽>阪神に連勝し、ハイタッチする嶋(中央奥)ら楽天ナイン。交流戦前半を首位で折り返した

 プロ野球セ・パ交流戦は29日に前半戦を終了した。各チームが所属リーグとは別の6チームと2試合ずつ対戦、その対戦成績をリーグ別に見ると、セ・リーグが28勝、パ・リーグ40勝と、パ・リーグが大きくリードしている。29日の時点での交流戦順位も1位楽天、2位にロッテとオリックス、4位ソフトバンクと、パが上位を独占。5位はセの広島だが、6位には日本ハムと西武が同率で並び、パがセを圧倒する状況となっている。

 昨年まで過去8年間の対戦成績は、パの653勝に対し、セは600勝(引き分け43)で、優勝チームも05、06年ロッテ、07年日本ハム、08、09年ソフトバンク、10年オリックス、11年ソフトバンクと、昨年、巨人がセ・リーグ所属チームとして初優勝するまでパ・リーグ所属チームが独占。今年もここまでは「交流戦=パ・リーグ優勢」という図式通りの展開だ。

 交流戦がスタートしたのは2005年だが、それ以前に「人気のセ、実力のパ」という言葉を聞いたことがある。全国放送のテレビ中継が巨人戦ばかりだった時代、プロ野球は巨人を中心に発展し、昭和40年代には「巨人・大鵬・卵焼き」の言葉も生まれたほど。巨人を中心にセ・リーグに人気が集中していたころのことだと記憶している。ちなみに昨年の観客動員数(交流戦を含む)でも、セの総観客数1179万536人に対し、パの総観客数は957万9690人。現在でも人気面ではセが優勢だ。では「実力のパ」は事実だったのか?

 交流戦以外で両リーグの対戦と言えば、オールスターゲームと日本シリーズがある。人気プレーヤーが集うオールスターが初開催されたのは1951年で、通算成績をみると、パ78勝、セ73勝(引き分け9)と、確かにパ優勢だが、それほど大きな差ではない。一方、両リーグの優勝チームが激突する日本シリーズは1950年から開催されて、セ所属球団の日本一が35回、パ球団が勝ったのは28回と、セがリード。「実力のパ」は、数字的な根拠があったというより、むしろ「人気のセ」の対句としての言葉だったようだ。

 しかし、交流戦がスタートし、両リーグの対戦成績が「実力のパ」の数字的根拠になりつつある。ただ、各チーム6試合ずつ対戦した最初の2年間は、05年がパ105勝、セ104勝(引き分け7)、06年もパ108勝、セ107勝(引き分け1)と互角。ソフトバンクが優勝した09年はパ67勝、セ70勝(引き分け)とセが優勢だった年もある。実は昨年までのパの貯金「53」のうち、44勝は10、11年の2年間でつくられたもの。まだ数字的根拠としては弱いかもしれない。

 こんなデータもある。交流戦Vチームがそのまま日本一になったのは05年ロッテ、11年ソフトバンク、12年巨人と8回中3チームだけ。確率としては37・7%だが、交流戦の勝利数で上回ったリーグから日本一のチームが出たのは、07年の中日を除いて8回中7回で、確率87・5%。現時点ではパ・リーグに12勝のアドバンテージがあり、このペースでいくと「今年の日本一はパから」ということになる可能性は高いが、さて後半戦は…?

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2013年5月30日のニュース