西武 木村 プロ3打席目のV弾 ドラ1元投手から打者転向

[ 2013年5月29日 06:00 ]

<D・西>8回、プロ初本塁打を放ち、ナインに祝福される西武・木村

交流戦 西武4-2DeNA

(5月28日 横浜)
 西武の木村文紀外野手(24)が、28日のDeNA戦でプロ初本塁打を放った。同点の8回に代打で出場し、左中間席に値千金の決勝弾を叩き込んだ。

 昨年9月に投手から外野手に転向したばかり。16日のイースタン・リーグ日本ハム戦(鎌ケ谷)で大谷翔平投手(18)から2本塁打を放ち、1軍昇格のチャンスをつかんだ男が、プロ3打席目でいきなり結果を出した。

 野手に転向したばかりとは思えない、豪快なスイングだった。1―1の8回。木村の鋭い打球が左中間席に突き刺さった。プロ初本塁打は、チームを救う値千金の勝ち越しアーチとなった。

 「うれしいのひと言。監督からベンチで“キム(塁に)出ろ!”と言われたので何が何でも出ようと思った。貢献できて凄くうれしい」

 好投を続けていた菊池の代打として打席に立った。「代打に対しては一発を避けたいはず。だからカットとスライダーが多くな る」という片岡からのアドバイスを冷静 に思い返していた。初球と2球目はスライダー。ともに見送った直後の3球目。真ん中へ入ってきたスライダーを思い切り振り抜いた。「弾道が低くて」打球ばかり 見ていたため、一塁を踏んだかどうかも分からず踏み直すほど、無我夢中だった。

 二刀流に挑戦している日本ハム・大谷との対戦で、1軍昇格のチャンスをつかんだ。16日のイースタン・リーグ日本ハム戦(鎌ケ谷)。木村は大谷から2本の場外本塁打を放った。「あんな注目されている投手から打てて自信になった」。20日の阪神戦(西武ドーム)で1軍に昇格。23日の広島戦(西武ドーム)でプロ初打席に立ち、左翼フェンス直撃の二塁打。この日はわずかプロ入り3打席目だった。

 06年高校生ドラフト1巡目で入団した7年目。渡辺監督の現役時代の背番号41を託され、大きな期待を寄せられた。11年にはプロ初勝利も挙げた。しかし、昨季開幕前の練習中に腰を痛め、本来の投球ができなくなったため、9月に野手転向。毎日1700スイングを自らに課し、入浴が困難になるほど手の皮はボロボロにむけた。猛練習で体をいじめ抜き、痛み止めの薬を飲み過ぎて吐き気を催したこともあった。体重は93キロから83キロまで落ちた。

 昨オフ、背番号が41から51に変更となった。41への思いを問われると、無言で目を潤ませた。栄誉ある番号の歴史をつなぐことができなかった悔しさがにじんだ。「この1本に満足せずどんどん打ちたい」。これからは野手・木村として野球人生を再スタートさせる。

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