背番号14のキズナ…楽天 則本 津田魂4勝、直球押しまくった

[ 2013年5月26日 06:00 ]

<広・楽>楽天先発・則本は8回1失点の好投で4勝目を挙げる

交流戦 楽天2―1広島

(5月25日 マツダ)
 まるで炎のストッパーのように。広島・マツダスタジアムのマウンドで、背番号14が躍動した。楽天・則本が直球で押しまくる。150、150、150…。

 8回1死、梵に対して3ボール1ストライクから7球連続ファウル。うち5球が直球だった。1球ごとに球場がどよめきに包まれる。最後は12球目、136キロスライダーを左中間二塁打された。ルーキーは天を仰いだ。「これで1点、取られるだろうな。完封はなくなったな…」。胸の中で、そう思った。

 「何としても抑えたかった。勝負どころの変化球が甘い。完封したかったけど…。“まだ早いよ”って言われた感じですね」。8回3安打1失点。悪い予感は的中し、直後に代打・松山に同点打を浴びた。それでも最高気温29度の中、8回の98球目に最速151キロをマークした。力で押す。炎のような直球で相手を牛耳る。則本が心酔する、元広島の津田恒実さんのような投球だった。

 「好きな言葉は2つ。漢字一文字なら“魂”。あとはやっぱり、津田さんの“弱気は最大の敵”ですね」。小4の時、津田さんのテレビ番組「炎のストライク」を見て心が震えた。プロの世界に入り、同じ14番を背負い「うれしい」と喜んだ。「魂」の文字は、父・義孝さん(56)にプレゼントした帽子のつばの裏に書き込んだ。そして「弱気は最大の敵」――。その言葉を心に刻んでマウンドに上がった。

 「広島で勝てたのがうれしいですね」。試合後の則本は笑顔を輝かせた。3試合ぶりの白星でパ・リーグ新人単独トップの4勝目。チームもパ首位のロッテと2差をキープし、交流戦ではオリックスと並んで首位に浮上した。7月20日。津田さんが32歳の若さで亡くなってから、ちょうど20年がたつ。その魂は、いつの時代にも受け継がれる。

 ▼楽天・星野監督(則本は)7回までは光っとったけどな。(8回は)疲れなんて言っとったら駄目。あそこを乗り切ってくれたらな。完投、完封せいっ!

 ▽津田恒実という男 南陽工(山口)では145キロの速球を誇り、81年ドラフト1位で広島入団。82年に11勝6敗、防御率3・88の成績で球団初の新人王。翌年に右肩痛、3年目の84年には右手の血行障害を患った。86年から守護神として復活。150キロ台の速球を全力で投げ込む姿から「炎のストッパー」と呼ばれ、同年は4勝6敗22セーブ、防御率2・08でリーグ優勝に貢献。89年は28セーブで、最優秀救援投手のタイトル。91年5月に脳腫瘍が判明し同年11月、闘病生活を理由に現役引退。93年7月20日に32歳で生涯を終えた。

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