菅野自己最長9回力投12Kでサヨナラ呼んだ

[ 2013年5月19日 06:00 ]

<巨・西>9回2死一、二塁、片岡を見逃し三振に仕留めグローブを叩いてガッツポーズする菅野

交流戦 巨人2-1西武

(5月18日 東京D)
 無尽蔵の才能を感じさせる1球だった。9回2死一、二塁。菅野が代打・片岡にフルカウントから投じた10球目はインコースへのスライダー。これがプロ最多136球目とは思えない正確無比な制球で、内角低めに決めた。反応できなかった片岡は思わず天を仰いだ。

 「三振は狙ってましたけど…。集中しすぎていてあまり覚えてない」

 中身の詰まった「菅野の10球」。名勝負と言っても過言ではなかった。フルカウントから外角中心に攻めて4球ファウルで粘られた。その直後に意表を突いた「インスラ」を投じ、「自分の野球人生において忘れられない対戦になった」と力を込めた。

 プロで初めてインスラを投じたのは4月20日広島戦(マツダ)だった。「こういう球もあるんだぞ」と見せておく意味合いがあったという。カットボール、ワンシームなど多彩な変化球を持つ中で、インスラは打者の目をそらす役目も果たす。

 この日奪った三振はプロ入り最多の12。計59奪三振でリーグトップを独走中だ。一方で、1点を先制された直後の4回1死一、二塁でヘルマンを外角スライダーで狙い通りの二ゴロ併殺に仕留めた場面を「一番大きなポイント」と振り返った。

 チームはこの日、打撃強化のため、ベンチ入りの投手を12人から11人に減らして野手を補強した。中継ぎ陣が手薄になる中で、菅野も「(これまで)途中降板したり、中継ぎの方に迷惑をかけていた。きょうは最後まで投げたいと思っていた」と胸を張った。サヨナラ勝利を呼んだルーキーの快投で3連勝。貯金を今季最多タイの14とした原監督も「常に接戦の中で、粘り強く、守りの野球ができている」と充実感を漂わせた。

 最後に右腕は言った。「9回までまだ1回しか投げていない。本当の信頼はこれから」。6勝目は手にできなかったが、ヒーローは紛れもなく菅野だった。

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2013年5月19日のニュース