黒田がキレた 球審の「たかが1球」に憤慨

[ 2013年5月14日 06:00 ]

ロイヤルズ戦の8回途中、主審に判定ミスを示唆するような軽口を言われ、ぶ然として降板するヤンキースの黒田

 ヤンキースの黒田博樹投手(38)が12日(日本時間13日)、ロイヤルズ戦に先発して7回2/3を投げ6安打2失点。チームトップの5勝目を挙げた。ただ、8回にはマウンド上で球審の判定に珍しく不満をあらわにし、2死二塁で交代した際には球審とにらみ合う一触即発の場面も。チームを今季初の5連勝に導いた右腕にとって、怒りの5勝目となった。

 交代を告げられ、三塁ベンチへ戻る黒田にラズ・ディアズ球審が声を掛ける。「たかが1球だろう!」。挑発とも受け取れるひと言に、黒田がキレた。数メートルの距離で激しいにらみ合い。不穏な空気に、慌ててラリー・ロスチャイルド投手コーチ、ジョー・ジラルディ監督が割って入り、ようやく事態は収束した。

 「こっちはその1球を投げるためにたくさん調整して、いろんなデータを取っている。それを軽く言われるのはちょっと…。早いイニングならまだしも、8回まで投げた投手に言う言葉かな」

 引き金となったのは2点差に詰め寄られた8回2死、3番ゴードンへの2ボールからの3球目だった。92マイル(約148キロ)のシンカーが真ん中低めに決まったように見えたが、判定はボール。黒田は両手を上げ「WHY?(どうして)」と言わんばかりに捕手からの返球を受け取った。直後に左翼線二塁打を許し交代すると、球審から判定ミスを示唆するような発言が飛び出したのだった。

 これほど感情的になる黒田は珍しい。日頃から「審判を敵に回しても何の得もない」とし、ディアズ審判員との関係も「日本語であいさつをしてくれる」と良好だった。接戦の中で最も警戒する打者への細心の投球を軽んじられ「あのタイミングで“その1球だけだろ”みたいな頭にくるようなことを言われると、こっちもどんな気持ちで8回投げたかって」。1球1球に命をかける右腕の気概に、ジラルディ監督も「あんなヒロ(黒田)は初めて見た」と驚きを隠せずにいた。

 それでも8回途中まで2失点で踏ん張り、チームは今季初の5連勝。自身は「結果的には良かったが、自分の中ではけっこう苦労した。何とかしのぎながらという感じ」と決して納得はしていない。それでも、先発投手を評価するクオリティースタート(6回以上自責3以内)も6試合連続に伸び「必要とされていること。続けていくしかない」。試合後、平常心を取り戻した黒田は最後はクールに締めた。

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