もう一つの変わらぬ聖地 グランド小池商店

[ 2013年5月10日 06:00 ]

小池商店の店主オーナー小池三郎さん(右)は、長女・高橋文子さんと乾杯する

多摩川グラウンドに長嶋さん

 店内に入った瞬間、懐かしい時代にタイムスリップする。巨人の黄金時代を支えた選手の写真、サインが所狭しと並んでいる。久々の長嶋氏の来訪。旧多摩川グラウンド脇の「グランド小池商店」は、大勢のファンや報道陣らでごった返した。おでん、焼きそば、ラムネ…。味は昔と変わらない。

 「今は午前中とかは暇で。赤字続きなんですよ」。店主の小池三郎さん(91)の長女・高橋文子さん(59)は、忙しそうに焼きそばを運びながら笑った。多摩川グラウンドが開場した55年の6月にオープン。かつて長嶋氏や巨人の選手、関係者、ファンらが必ず立ち寄った。聖地のそばの、もう一つの「聖地」。今年8月5日に92歳になる三郎さんは「きょうは長嶋さんには会ってないよ。この足だし、つえをついてもフラフラ。倒れたら大変だから」。それでも今でも元気に店に出る。オールドファンと昔話に花を咲かせる。

 「おばちゃん、お任せね!」。長嶋氏は現役時代に小池商店を訪れると、10年5月に亡くなった三郎さんの夫人・まつさん(享年82)に、甲高い声で必ずそう言った。まつさんはよく煮えたおでんを選んで出したという。昭和30~40年代、おでん、焼きそばが100円で牛乳が35円。この日は約1000人のファンが訪れたが、三郎さんは「昔はあれくらいの人が毎日来ていた。お店にお客さんが入りきれなくてグラウンドに出張したこともある」と話した。

 毎年、正月に田園調布署で行われる「武道始め」で長嶋氏と顔を合わせているという三郎さん。「まだまだ若い。ますます頑張ってほしい。そう、いつも思ってます」。巨人の歴史とともに生きてきた91歳からの、熱きエールだった。

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