連敗敗退…伊藤新監督苦難の船出「おまえたち、もっと強い男になれよ!」

[ 2013年5月8日 06:00 ]

訓示する伊藤新監督

陸前高田市・高田高校野球部の1年 復興へのプレーボール春季岩手大会予選編

 開幕2連敗。1年間の野球部長を経て4月からチームの指揮を執る伊藤貴樹監督は、自らに言い聞かせるように、辛らつな言葉を選手に浴びせた。

 「日頃の練習から真剣に追い込んでいないことが、この2試合を見て分かった。能力はすぐに変わらないけど、姿勢はすぐに変えられるからな。おまえたち、もっと強い男になれよ!」

 早大では和田(オリオールズ)と同期で、4年時にはリーグ戦春秋連覇も経験。勝つために何が必要かを考え続けてきた。それは指導者になっても変わりはない。たとえば、セーフティーバント。初球はライン際に転がし、その打球がファウルになることはOK。投手がさばける場所に転がしては、安打になる確率は低くなる。たとえば、スイングする準備。狙い球を指示しているにもかかわらず、その球に対してバットが出なければ、安打になる確率は低くなる。2試合で6安打1得点では、勝てない。ワンプレーへの心構えが甘いことに、語気は荒くなった。

 秋田経法大付(現明桜)で監督を務め、甲子園にも出場した父・護朗さん(66)はスタンドで観戦し「勝敗の責任は監督にある。夏までに監督の指導方針をどこまで選手に浸透させられるかですね」と言った。チームの色は監督で決まる。高校野球では、その影響力はさらに高まるからこそ、の言葉だった。

 伊藤監督は、下を向く選手を横目にこう言った。「こういう負け方のスタートで私も良かった。やるべきことが分かりましたから。こいつら、楽しみですよ」。夏までの2カ月。ナインが「強い男」になれることを信じている目で、そう言った。

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