アニマルさん死去 ド派手パフォで人気、陰では繊細な一面も

[ 2013年5月1日 06:00 ]

86年、西武の清原を三振に取り、マウンドで喜ぶアニマルさん

 阪急(現オリックス)で「アニマル」の登録名で活躍した元投手のブラッド・レスリーさんが28日(米国時間27日)、米ロサンゼルス郊外のマリナデルレイで腎不全のため死去したことが30日、分かった。54歳だった。1986年から阪急に2シーズン在籍し、トレードマークの口ひげとマウンド上でのド派手なパフォーマンスで人気を博した。なお、古巣のオリックスは今後の追悼イベントなどの実施について未定としている。

 日本でプレーしたのはわずか2シーズンだけだったが、強烈なキャラクターと荒々しいパフォーマンスで野球ファンの記憶に鮮烈なイメージを残したアニマルさんが死去した。最近は腎臓を患い、人工透析を受ける生活が続いていたという。

 現役時代は2メートルの長身、体重100キロを超える巨体で、帽子に収まらない長髪をなびかせ、150キロ超えのストレートを投げ込んだ。もみあげとつながったあごひげに加え、大きくたくわえた口ひげも印象的で、その姿はまさに野獣だった。

 記録よりも記憶に残る助っ人。何よりもアニマルさんを有名にしたのが、マウンド上で吠えまくり、体全体で喜びを表現したアクションだった。気合を前面に出し、自らを奮い立たせるプレースタイルで、セーブを挙げるたび、体を回転させてポーズを決めたり、相撲の四股を踏むように下半身を落とした。テレビ番組「プロ野球珍プレー・好プレー大賞」の常連で、ファンを飽きさせない人気者となった。

 あまりにも有名なのが、祝福しようとマウンドにかけつけた捕手の藤田に、グラブをはめた左手でパンチをお見舞いする荒業。投球直後の感情を抑えきれない時は手数も増え、女房役をボコボコにしたこともあった。その一方、広島県神勝寺での秋季キャンプでは周囲がお寺で若い選手から「お化けが出る」と言われると「怖い」と言って大阪に帰ってしまった臆病な一面も持っている。

 来日1年目の86年は42試合に登板し、阪急の守護神として5勝3敗19セーブの成績を残し、球宴にも出場した。だが、翌87年は不調から18試合の登板にとどまり2勝2敗5セーブに終わった。思うような投球ができず、試合前の陽気さも消えてしまうほど自信を失い、後半戦になるとブルペンでも震え、10月に入ると不振を理由に球場にも来なくなった。

 この年で現役引退し、その後はタレントに転身した。「亜仁丸レスリー」の芸名で人気番組「痛快なりゆき番組 風雲!たけし城」に出演するなど、「たけし軍団」の一員として活躍。俳優としても北野武監督の「BROTHER」、藤田まことさんの「必殺シリーズ」の浪人役も似合っていた。野球人の誇りも忘れなかった。近年はサンフランシスコ・ジャイアンツの少年チームのピッチングインストラクターをしていたという。

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