楽天500勝の記念球を観客席に…高堀「殺されるかと」

[ 2013年4月28日 06:00 ]

<西・楽>スタンドに投げられた500勝ボールを探す楽天・松井(左)と嶋

パ・リーグ 楽天9―2西武

(4月27日 西武D)
 「ヘイ、ヘイ!ボール!!」。勝利のハイタッチが終わった直後。嶋は両手を上げて、一塁側スタンドに向かって懸命に叫んでいた。球団創設から9年目で通算500勝に到達。歴史が刻まれた記念球を、9回に登板した高堀が客席に投げ込んでしまったのだ。嶋らの必死の叫び声に、親切なファンからボールが投げ返されてくる。イーグルスの、そして東北の「象徴」でもある男は、ホッとした表情で頭を下げた。

 「これから、もっともっと常勝軍団になっていかないといけない。500勝はあくまで通過点ですから」。球団創設3年目の07年に入団し、生え抜きとしてチームをけん引してきた28歳。試合の流れを呼び込む一発を放ったのは、2回2死だった。無死一、二塁から送りバント失敗など走者を進められないまま2死となったところで、岸の直球を左翼席に叩き込んだ。先制3ラン。「いい投手なので、1球で仕留められて良かった。でも、僕はホームラン打者じゃないんで」。そう言って笑ったが、これで今季早くも3号。打点もリーグトップタイの21だ。

 「毎年毎年、Bクラスが多かったし…。捕手として、そこは駄目だなと思います」。昨季までの過去8年間で、チームがAクラス入りしたのは野村克也監督が率いた09年の1度だけ。500勝までに、628の黒星を重ねてきた。その野村監督からは、ベンチで常に直立不動で説教を受けた。自分の打席が回ってきそうになっても、怒られ続けていたこともある。球団創設時のメンバーで大先輩の山崎(現中日)からも、厳しい言葉で育てられた。ある試合で本塁上でのクロスプレーで逃げ腰になってしまい、「戦う姿勢」が足りないと怒鳴られた。全てが嶋の糧となっている。

 11年3月11日には東日本大震災に見舞われた。「見せましょう、野球の底力を」――。そうスピーチしたのは当時、選手会長の嶋だった。500勝の中には、被災者を励ました白星もあるに違いない。この日は9点全てを2死から挙げた。攻撃陣には昨季までにはなかった粘りがある。チームは3連勝で3位に浮上。「前を向いて、次は501勝目を目指さないと」。4年ぶりのCS進出へ向け、500勝の記念ボールは、嶋の叫び声で戻ってきた。

 ▼楽天・高堀(9回に登板。球団通算500勝の記念球をスタンドに投げてしまい)やばかった!(ナインから)言われて「やばい!」と思った。殺されるかと思いました。返してくれたファンの方、本当にいい人です。

 ▽8番目 楽天が西武に勝ち球団通算500勝(628敗31分け)に到達。05年の球団創設から1159試合目の到達で現存の12球団では8番目のスピードとなる。星野監督の就任後は144勝目(150敗17分け)。なお星野監督は自身通算1063勝目で、歴代10位の川上監督まであと3勝。

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