広瀬 日本新15打席連続出塁「記録は酒のつまみにしてもらえれば」

[ 2013年4月27日 06:00 ]

<広・中>ヒーローとなった広島・広瀬はファンの声援にバンザイして応える

セ・リーグ 広島3-2中日

(4月26日 マツダ)
 広島の広瀬純外野手(34)が26日、中日戦の8回に中前打で出塁し、15打席連続出塁のプロ野球新記録を達成した。21日の巨人戦(マツダ)で第4打席の中前打以降出塁を続け、4試合目のこの日4打数4安打で記録を更新した。近代野球となった1900年以降の大リーグでは「最後の4割打者」として有名なテッド・ウィリアムズ(レッドソックス)の16打席連続出塁が最多記録。27日の中日戦の第1打席で、大打者の偉大な記録に挑む。

 歴史を塗り替えた広瀬は、一塁ベース上で少しだけ口元を緩めた。8回無死一塁、2ボールからの3球目。中日・武藤の低めのボール気味の143キロ直球を、中前にライナーで運んだ。この試合4安打目でプロ野球新記録の15打席連続出塁。誰もなしえていない領域に足を踏み入れた。

 「記録は知っていましたし、なかなかこういう機会はないので少し狙いました。まだ自分の中では実感がない。凄いことをしたなと思う」

 規定打席に到達したのは10年の一度だけ。今まで目立った打撃記録を持たないプロ13年目の34歳は、お立ち台で控えめなコメントを並べた。「僕のことは二の次。チームが勝って良かった。記録は(ファンの)皆さんのお酒のつまみにしてもらえれば、それで満足です」。野村監督と同じ大分・佐伯鶴城出身。指揮官直系の愛弟子は、骨折したエルドレッドに代わり23日のヤクルト戦(神宮)で4番を任されて以降、出塁率10割を誇る。

 前日は神宮でヤクルトと延長12回の死闘を演じ、試合終了は午後11時過ぎ。一夜明けたこの日は早朝の新幹線で広島へ帰り「睡眠時間はたった4時間ですよ」と過酷な移動を強いられたが、好調なバットは止まらなかった。2回に左前打すると、4回は「甘く来た球をしっかり呼び込んで打てた」と先制の左中間二塁打。この時点で13打席連続出塁となり、67年に山本一義がつくった球団記録を46年ぶりに更新すると、5回には右前打。南渕(ロッテ)、高橋由、小笠原(ともに巨人)が持っていたプロ野球記録にあっさり並び、8回に新記録を樹立した。

 進化するためには努力を惜しまない。06年に黒田(ヤンキース)の紹介で動作解析の専門家、手塚一志氏に弟子入り。それまでは故障がちだったが、同氏のすすめで08年から毎年秋にペパーダイン大(カリフォルニア州ロサンゼルス郡)で自主トレを行うなど自己投資をしてきた。「今年は不安なくできている。ロスの成果が出ていると思う」と広瀬は海外自主トレも好調の一因に挙げた。

 「しっかり睡眠をとってまた球場に来たい。先のことは考えずに一生懸命やります」。記録はまだ継続中。さらに現在8打数連続安打で、11打数連続安打の日本記録も視野に入る。未知の領域への挑戦は、まだ終わらない。

 ▼元ロッテ・南渕時高氏 僕は四球だったので、安打での記録更新はたいしたもの。よくぞ破ってくれた。今後の野球人生に大きく役立つはず。広瀬選手のおかげで自分の名前も報道されてうれしい。

 ◆広瀬 純(ひろせ・じゅん)1979年(昭54)3月29日、大分県生まれの34歳。佐伯鶴城から法大に進学。大学3年春には3冠王を獲得。4年時には日本代表としてシドニー五輪に出場した。00年にドラフト2位の逆指名で広島に入団。10年には球宴に出場し、ゴールデングラブを受賞した。1メートル81、87キロ。右投げ右打ち。今季年俸は6000万円。

 ≪南渕、由伸、小笠原の「14」更新≫広瀬(広)が21日巨人戦(マツダ)の第4打席から、26日中日戦(マツダ)の第4打席まで15打席連続出塁。93年南渕(ロ)、03年高橋由(巨)、同年小笠原(日)の14打席連続を抜く最多連続打席出塁のプロ野球新記録を達成した。近代野球となった1900年以降の大リーグでは57年テッド・ウィリアムズ(レッドソックス)の16打席連続が最多記録。また広瀬は21日巨人戦の第4打席から7四死球を挟み8打数連続安打。連続打数安打のプロ野球記録は91年レイノルズ(大洋)、03年高橋由(巨)の11打数。球団記録は67年山本一義、72年山本浩司の9打数だが、広瀬はどうか。

続きを表示

この記事のフォト

2013年4月27日のニュース