宝刀パームで5回無失点 帆足が移籍1勝

[ 2013年4月18日 06:00 ]

<楽・ソ>移籍後初勝利を挙げた帆足

パ・リーグ ソフトバンク5-1楽天

(4月17日 Kスタ宮城)
 藤岡、森福、千賀、岩崎、ファルケンボーグ。ソフトバンク・帆足が左手で握りしめたウイニングボールにはこの日登板した全投手の名前が書かれてあった。

 「みんなに書いてもらいました。僕にとっては凄く重い1勝になった」。もちろん、自分の名前も書いた。5回を3安打無失点で今季初勝利。西武時代の11年9月29日の楽天戦(Kスタ宮城)以来、実に566日ぶりの白星をソフトバンク移籍後初勝利で飾った。

 調子は良くなかったが、勝つために必死だった。だから、パームボールという「宝刀」を抜き続けた。120キロ前後で揺れながら落ちる魔球。全86球中34球と実に4割だ。カウントを取りにいくときも、ウイニングショットでもだ。3つの空振り三振を奪ったときも、4つの四球を出したときも全てパームボール。高校時代、手が小さくフォークを投げられず、編み出したボールだ。

 西武で通算75勝を挙げ、昨年FA移籍。しかし、1年目は4月15日ロッテ戦(当時ヤフードーム)の初登板で3回途中4失点KOされると、そのまま2軍落ち。左肩痛もあり、再び1軍のマウンドを踏むことはなかった。左肩の不安がなくなったのは今年に入ってから。「去年はいい勉強になった」とつらい経験を前向きに捉えている。移籍時に西武時代の背番号47から11に変更。「(巨人に移籍した)杉内君の代わりとは思われたくなかった」というのが理由だ。だが今季から愛着のある番号に戻した。出直しの通算76勝目だった。

 チームは今季初の4連勝で3位に浮上した。「次は球数を減らし、長いイニングを投げられるようにしたい」と帆足。勝利の余韻にひたることはない。FA移籍した左腕は、1年目の借りを返すべく、白星を重ねる。

 ▽パームボール 「パーム」とは「手のひら」の意味。親指と小指で球を挟むようにして投げる。遅い球速で回転も少ないため、揺れながら落ちる。リリースの瞬間は手のひらを転がり、高めに投げ出されるような錯覚を打者に与え、そこから落ちる事で打者の視線を上下させる。現役の使い手には帆足、鍵谷(日本ハム)らがいる。

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