中畑監督 退場で火ついた!一丸勝利に「ナイスゲーム!」

[ 2013年4月17日 06:00 ]

<広・D>6回2死一、二塁、DeNA・中畑監督(中)は白井球審に退場を命じられるも必死に抗議

セ・リーグ DeNA6―3広島

(4月16日 マツダ)
 試合後、DeNA・中畑監督は硬い表情のままバスへ乗り込むと、ようやく本心を見せた。右手を胸に当ててホッと息をつくと、ほおに涙が伝うしぐさを見せた。暴力行為で両リーグを通じて今季退場1号となった試合で、ナインが逆転勝利を収めた。

 「いい執念を見せてくれた。負け試合の雰囲気の中でこういう結果をもたらしてくれたのはうれしい。ナイスゲーム!」。怒りを抑えきれなかった自責の念もある。口を突いた言葉は選手への感謝だった。

 微妙な判定に激高したのは同点の6回だった。2死一、二塁で二塁手・内村が二遊間へのゴロを飛びついてキャッチ。一塁送球が間に合わないと見るや、二塁走者・梵が三塁を回ったのを確認して本塁に送球。捕手の鶴岡が右側から本塁へ滑り込んだ梵にタッチしたかに見えたが、判定はセーフだった。中畑監督は一目散に本塁へ走り、「タッチしてるだろう!」と叫び、白井球審の胸を右腕で小突いた。すぐに退場を宣告されたが、ペンギンのように両手を下げて再び胸で体当たり。友利投手コーチらに制止されたが、両手を広げたポーズで三塁ベンチへ。怒りは収まらなかった。

 94年の巨人打撃コーチ時代、昨年9月16日のヤクルト戦(神宮)に続き、3度目の退場劇だ。暴力行為は決して許されない。だが、監督不在の状況で選手が勝利への執念を見せた。同点の延長10回2死一、三塁から今村の暴投で三塁走者・石川がヘッドスライディングで「あの場面はワンバウンドだったらいつでもいくつもりだった」と決勝点の本塁生還。指揮官として2度目の退場は白星で、選手に救われた。

 開幕前のミーティング、指揮官は選手全員の前で宣言した。「コーチ批判はやめてくれ。でも監督批判は大いに結構だ」。全て責任は自分が取る。覚悟を伝えた瞬間だった。「監督が来てくれなかったら僕が(怒って)退場になっていた。もっと僕も入り方(タッチの仕方)をうまくやっておけば良かった」と鶴岡。負ければ今季ワーストの借金3に膨らむ崖っ縁でつかんだ白星は、チーム一丸の証拠といえた。

 ▽中畑監督の前回退場 昨年9月16日のヤクルト戦(神宮)の7回に、同点に追いつき、なおも無死二塁の場面で森本が送りバント。二塁走者の筒香が三塁でアウトと判定された瞬間、ベンチから飛び出し猛抗議した。両手を後ろに回して抗議を続けたが、勢い余って腹から腰の部分が深谷三塁塁審に接触。「体当たりした」として退場を宣告された同監督は、ベンチ前で「バカヤロー!」と絶叫。帽子を叩きつけ、グラウンドを去った。

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