阿部 逆転一振り!そして、むちゃぶり!カチャーシー指令

[ 2013年4月17日 06:00 ]

<巨・神>「沖縄の踊りを踊ります」と阿部に宣言され、お立ち台でカチャーシーを踊る巨人・宮国

セ・リーグ 巨人4―2阪神

(4月16日 東京D)
 巨人・阿部慎之助捕手(34)が16日、阪神戦で3回に右翼席へ逆転3ランを放ち4―2と勝利に導いた。打線は阪神に対し昨年9月16日の4回からこの日の2回まで37イニング連続無得点。1947~48年の球団ワースト記録を更新していたが、9日に完封を許した左腕・能見篤史投手(33)に4番の意地を見せつけ4連勝でセ界の貯金も独占だ。
【試合結果】

 阿部だけに許されるむちゃぶりだった。今季初白星を飾った宮国とのお立ち台で、「宮国をひと皮むかすために、勝ったら沖縄の踊りをする、と言っていたのでやらせたいと思います」と仰天指令。内気な20歳もカチャーシーの踊りを一瞬だけみせたが、これには「すいません、やらせた僕がダメでした」と一礼した。15連勝した83年以来30年ぶりとなる開幕から無傷の9連勝を飾った本拠地が爆笑に包まれた。

 リベンジマッチをひと振りで決めた。3回、リードを2点差に広げられたその裏。1死一、三塁。1ボール1ストライクから、能見がクイックで投じた内角139キロを右翼席前列に運んだ。決勝の逆転3ラン。「クイックは頭に入ってなかった。差し込まれたけど、うまく押し込めたし角度が良かった」。相手の技術に崩されず力で制した。

 1週間前の9日(甲子園)。チームは能見に5安打零敗で今季初黒星、阿部も9回1死一塁から二ゴロ併殺で最後の打者に終わった。そこから3戦連続無得点と好調だった打線は狂わされた。この日も直前の2回まで抑えられ、昨年9月16日から続く阪神戦連続無得点が37イニングとなり、48年の記録を65年ぶりに更新する球団ワーストとなっていた。伝統の一戦での屈辱のゼロ行進を、主将の一撃が止めた。能見から通算73打席目で初アーチだった。

 この日の阿部の対策は速攻だった。「考えたらドツボにはまる。とにかく、追い込まれるときつい。その分積極的にいった」。逆転3ランも3球目。凡退した2打席は、いずれも初球を叩いた。能見のウイニングショットは天下一品のフォークだ。2ストライクまで追い込まれると、確率は悪くなる。3月のWBCでもバッテリーを組んだ。合宿前には侍ジャパンの山本監督から意見を求められ、守護神候補に能見の名前を挙げた。「彼のフォークは世界でも絶対的。僕らも凄く苦しめられた」。宝刀を抜かれる前に仕留める必要があった。

 そして長野、寺内らがつないだチャンスを阿部が決めた。「前回はほぼ完璧にやられた。借りを返すではないが、チームとしてやり返せたのは大きい」。阿部が東京ドームでアーチを描けば32連勝。風もない、狭い本拠地の利も手伝った。「チャンスがあれば今度は甲子園で勝てるように。それが能見対策の次の目標だと思う」。リベンジは完成しないとばかりに次をにらんだ。

 ▽カチャーシー 沖縄民謡の演奏に合わせて両手を頭の上で左右に振りながら、足も踏みならす踊り。もともと沖縄の方言で「かき回す」の意味で、両手を左右に振る踊りが、かき回すように見えるため、そう呼ばれるように。

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