黒田 無四球完封で勝利!新ヤンキースタジアムで初快挙

[ 2013年4月16日 06:00 ]

<ヤンキース・オリオールズ>9回、マーカキスの打球に飛びつく黒田

ア・リーグ ヤンキース3―0オリオールズ

(ニューヨーク)
 圧巻の快投だ。ヤンキースの黒田博樹投手(38)は14日(日本時間15日)、オリオールズ戦で散発5安打による無四球完封で今季2勝目をマークした。09年に新装なったヤンキースタジアムで無四球完封は5年目、通算330試合目で初の快挙。元ドジャース・野茂英雄氏(44)、元レッドソックス・大家友和投手(37=現BCリーグ・富山)らに次いで日本人3人目となる通算150回目の先発試合でベテラン健在を見せつけた。

 最後の打者デービスをフォークで空振り三振に斬ると、黒田は珍しく両手でガッツポーズした。普段は冷静で控えめな右腕が「たまにはしますよ。それは」と笑み。それほど納得の内容だった。

 「そんなに状態はよくなかったが、何とか投げられた。スライダーを見せ球に、シンカーで攻めた」。今季初登板の3日レッドソックス戦で打撲した右手中指は万全ではない。ツーシームの握りで投げる「宝刀」シンカーを全113球のうち6割近くの65球も投じたことが奏功した。

 黒田のシンカーは、140キロ台中盤の球速で鋭く曲がりながら沈む。特に、左打者には内角ボールゾーンをえぐってからストライクゾーンに入る「フロントドア」の軌道で腰を引かせた。「凡打の仕方が自分のイメージに近かった」。この試合のゴロアウトは18個。右翼ポールまで95・7メートルと狭く、09年の新装以来、さらに本塁打が出やすくなったと言われるヤンキースタジアムで初の無四球完封劇だ。

 打者有利の球場だと、一発を恐れて際どいコースを突いて四球が増えるパターンに陥りやすい。ところが黒田は「歩かせるくらいなら、バットに当てさせてアウトを取りにいく方がリズムもいい」と割り切って、ストライクを先行。日本の中6日よりも短い、中4日が基本のメジャーで、長いイニングを投げる工夫でもある。

 野茂氏(318)、大家(178)に次ぐメジャー150試合目の先発登板。メジャー5年目となる99年ブルワーズ時代の最終登板で達成した野茂氏に対し、黒田は6年目の3試合目で到達。大家は8年目だった。黒田は「年間30試合ずつ。先発投手の責任は果たせているのかな」と話すが、野茂氏の到達時の年齢が30歳なのに対し、黒田は38歳。試合前日と当日には分厚いリポートを手に相手打者の映像を見て研究。「これが最後の試合」と意識してマウンドに上がり、最高の投球を心がける。加齢で衰えるどころか進化を重ねている。

 ジョー・ジラルディ監督は「最高の投球」と絶賛。しかし黒田は「100球投げたら100球とも自分の思ったところに投げたい。それを考えればまだまだ」と反省し、「きょうで終わりではない」と先を見据えた。ただ、ロッカールームには、ナインから贈られたウイニングボールを保管。「あまりこだわる方じゃないですけどね。まあ、完封の時くらいは」。この日ばかりは、快投の喜びに浸っていた。

 ▽ヤンキースタジアム 総工費13億ドル(約1274億円)をかけて09年に新装。旧球場から道路1本を隔てた北側に建設された。フィールドの広さや形状や東西南北の方角は全く同じだが、内野スタンドが旧球場よりも低く傾斜がなだらかなため、風が右翼方向に吹き抜けやすい。元来狭い右翼への打球がより伸びるようになったと言われる。新装以前のヤ軍の年間最多本塁打は04年の242本だったが、09年に244本、昨年に245本と更新した。

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2013年4月16日のニュース