長寿秘けつは“緊張”…山本昌 47歳7か月先発勝利 

[ 2013年4月10日 06:00 ]

<中・ヤ>47歳7か月で今季初勝利を挙げた中日・山本昌は自身の最年長先発勝利記録を更新

セ・リーグ 中日5―0ヤクルト

(4月9日 ナゴヤD)
 現役選手最年長の中日・山本昌投手が9日、ヤクルト戦に47歳7カ月で先発登板して6回を1安打無失点で今季初勝利を挙げ、自身が昨年4月に46歳8カ月でマークした最年長先発勝利のプロ野球記録を更新した。同時に自身が持つ最年長登板のセ・リーグ記録も更新。食あたり、インフルエンザを乗り越えての今季初登板初勝利。第1回プロ野球ドラフト会議が開催された1965年に生まれた左腕は、今年も元気です。

 まだまだ働き盛りだ。史上最長プロ在籍30年目のシーズンの開幕を迎えた山本昌が、圧巻の投球を披露した。

 「チームが勝って自分にも勝ちが付いて、最高のスタート。最初、ストライクが入らずに自分が一番びっくり。谷繁には迷惑をかけたけど、勝てて良かった」

 初回。いきなり先頭の川島にストレートの四球。球界最年長選手がまるで高卒新人のようにガチガチだった。だが、実はこれも山本昌の長寿の秘密。「緊張しなくなったら俺は終わり。きょうも朝から緊張していた」。慣れや惰性とは無縁で、肉体以上に気持ちは若い。

 2回以降は熟練の投球を披露。コーナーへの直球でカウントを整え、打ち気をそらす変化球で凡打の山を築いた。許した安打は3回の川島の右前打だけ。持ち味と長年の経験を存分に生かした投球術に、高木監督も「(きょうの試合は)昌しかない。あそこまで投げてくれるとは…」と称賛した。

 想定外のアクシデントで出遅れた。春季キャンプ中の2月20日の朝、突然の食あたりで立ち上がれず「人生初の救急車」で病院に担ぎ込まれた。幸い大事には至らなかったが、3月12日、今度はインフルエンザA型の感染が判明。5日間の静養が言い渡され「ああ、開幕間に合わねぇ。クソッと思った」。ただ、3日目に名古屋市内の自宅近くの公園でこっそり始動。壁当てやジョギングをしているところを少年野球チームに見つかり「うつるから近づくなよって言いました」と振り返った。

 現役最年長の47歳は「休むと動かなくなるから」と、オフの間から精力的に体づくりを行った。積極的にフォームを改良するなど向上心もまだまだ衰えていない。昨年12月のハワイでの名球会ゴルフで一緒だった高木監督は「ハワイでもトレーニングしとるんだもん。それだけ気持ちも乗って体も動けとる」と脱帽するしかなかった。

 今季初登板で6回1安打無失点。47歳8カ月で自身のリーグ最年長出場記録を更新し、最年長勝利となる通算214個目の白星を手にした。「若い子も伸びてきている。どんどんいい投球して追い掛けていきたい」。まだなお意気軒高。投げるたびに球史を塗り替える、もはや「投げる伝説」だ。

 ≪史上3人目≫47歳7カ月の山本昌(中)が今季初登板で先発勝利。同年齢以上での登板は、50年浜崎(阪急)が48歳10カ月を最高に9試合、同年湯浅(毎日)が48歳1カ月で投げたのに次ぎ史上3人目。セでは昨年10月3日の阪神戦で自身が達成した47歳1カ月を上回る最年長登板になった。また、勝利は前出浜崎が50年5月7日の東急戦(救援勝利)で記録した48歳4カ月に次ぐ歴代2位だが、先発となると昨年4月30日のDeNA戦で自身が挙げた46歳8カ月を上回る最年長勝利だ。なお、実働年数も27年。工藤(西)の29年に次ぎ野村(西)、中島(日)の26年を抜く単独2位で、自身が持つセ記録を伸ばした。

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