ダルの変化…2年目の余裕、チェンジアップ学び宝刀スライダー磨いた

[ 2013年4月4日 06:00 ]

<アストロズ・レンジャース>ナインを出迎えたレンジャーズのダルビッシュ(右端)は最後にピアジンスキーとガッチリ抱き合う

ア・リーグ レンジャーズ7―0アストロズ

(4月2日 ヒューストン)
 レンジャーズ・ダルビッシュの今季は昨季終了直後から始まっていた。昨年11月7日、苦渋の決断でWBCの出場辞退を表明。休養を取りながら自分のペースでトレーニングを継続し、シーズン同様のコンディションを維持してきた。

 精神的な余裕も大きい。「昨年は(チームメートやメディアに)見られているし、それなりのことはしないといけないかなと。自分はこういう選手だよ、人間だよと見せなくてはいけない分、ストレスも大きかった」と振り返る。

 試合中のベンチ内では、チーム随一のムードメーカーの遊撃手アンドラスと外野手クルーズにからかわれることが多いが、昨季はあまり「反撃」できなかった。が、今年は逆にいじり返すそうで、アンドラスは「普通に言い返してくるよ。ユウの行動を見れば、どれだけ今年は落ち着いて野球ができているのかが分かる」。ダルビッシュ自身も「今年はちゃんとチームメートになれている感じがある」と言う。

 練習内容も変わった。今春キャンプ。ダルビッシュは通算355勝のグレグ・マダックスGM特別補佐から直々にチェンジアップの握りや投げ方を教わった。昨季も関心を持っていた球種で、球宴ではマリナーズのエース右腕ヘルナンデスから握りを教わっていた。ただ「僕にもっと余裕ができたら練習しようと思う」と先送り。今年は取り組むことができた。もともと好奇心が強い選手。球種のレベルアップという次のステージに進んだことは、滑るメジャー公式球へ、硬いマウンドへの不安が消えたからにほかならない。

 また、捕手とのコミュニケーションも通訳を介さず積極的に行っている。この日もフォーシーム(直球)が安定しないとみると、カットボールとスライダー中心の投球とした。「こうやれば大丈夫というのがある程度あるので、それでいける」という手応えは、捕手に自らの意思をしっかり主張することで球種の取捨選択ができるようになった証拠でもある。

 昨年は自身が先発したワイルドカードゲームでオリオールズに敗れて終戦し、「こんなに早く終わるとは…。マラソンを走れと言われて、30キロ地点で止められた感じ」と振り返った。シーズン完走=ワールドシリーズ制覇へ。周到に準備を重ねてきたことが、いきなり今季初登板で結実した。

 ≪1試合14Kはライアン氏以来≫ダルビッシュはこの日が自身メジャー通算30試合目の登板。14奪三振はメジャー自己最多を更新し、ミニッツメイド・パークでも最多タイ記録となった。一方でレ軍投手の1試合14奪三振は、91年7月7日のエンゼルス戦に登板したノーラン・ライアン氏以来。

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2013年4月4日のニュース