球児2球でセーブ 新球カット&ツーシームで締めた

[ 2013年4月3日 06:00 ]

<カブス・パイレーツ>初登板のパイレーツ戦で初セーブを挙げ、捕手カスティーヨ(右)と握手するカブス・藤川

ナ・リーグ カブス3-1パイレーツ

(4月1日 ピッツバーグ)
 大リーグは1日(日本時間2日)、各地で本格的に開幕した。阪神からカブスに移籍した藤川球児投手(32)は、パイレーツ戦で2点リードした9回2死一、二塁のピンチで救援。わずか2球で打者1人を仕留め、大リーグでは47年ぶりとなる開幕戦での初登板初セーブを記録した。また、2年目を迎えたブルワーズの青木宣親外野手(31)はロッキーズ戦の3回に1号本塁打を放ち、延長戦でのサヨナラ勝ちに貢献した。

 一発出れば逆転サヨナラ負けという場面で、藤川の名前がコールされた。9回、守護神マーマルの乱調で2点差となり、左腕ラッセルを挟んでの2死一、二塁。打席には昨季21本塁打のマーティンを迎えた。しびれる場面でのメジャー初登板。中継ぎとして「エゴを出すべき場所ではない」と捕手のサインに従った。それは「火の玉」と称された直球でも、宝刀のフォークでもなかった。

 「日本では投げていなかった2球。カットボールとツーシームだった。それだけ違う野球をするということです」

 初球、真ん中外寄りのカットボールでストライクを取ると、内角ツーシームで浅い中飛。打球の行方を確認する前に、派手なガッツポーズを繰り出した。メジャーでは47年ぶりとなる開幕戦での初登板初セーブ。「ご褒美をもらった」と笑顔で話した。

 日本球界で220セーブを挙げた男が「変化」を決断した。「自分の持っているものは、日本のスタイル。それではおそらくダメ。こっちで成功している選手はみんな変化している。自分も変化する準備をしてきた」。まずは徹底した筋力トレーニングで体重を10キロ増量して92キロに。筋力でフォームを安定させるという狙いだ。

 慣れない配球についても「勇気のいることだった」と認めた一方で、周到に準備していた。キャンプ中、クリス・ボシオ投手コーチがアウトカウントや走者などを指定し、直球とフォークだけに頼らない配球をシミュレーションした。「プラン通りに攻めてくれた」と同コーチ。ブルペンで新川諒通訳の手元には、常に分厚いデータのファイルが握られている。

 試合後、マーマルの起用法を問われたデール・スウェイム監督は「抑えは彼だ」と言った。しかし、開幕からクローザーを1/3回で降板させるのは、信頼を置いていない証拠だ。藤川は日本時代は「持っていない」というウイニングボールを、先発サマージャから贈られ「僕の中では特別」と持ち帰った。気温4度の寒さの中で投げた2球。メジャーで生き抜く決意とともに、クローザー奪取への熱い思いもこもっているようだった。

 ≪開幕戦初登板初セーブは47年ぶり≫開幕戦でメジャー初登板し、初セーブを記録したのは、大リーグが公式にセーブを記録として扱った1952年以降では藤川が史上4人目となった。66年にエディー・ワット(オリオールズ)がレッドソックス戦の延長13回を無安打無失点に抑えて初登板初セーブを挙げて以来、47年ぶりだった。また、公式記録として認定されていないものの、51年以前でも現行ルールでセーブとして扱われる事例が2度ある。

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2013年4月3日のニュース