WBCで学んだ!カーブ駆使新しいマー君見せた

[ 2013年4月3日 06:00 ]

<楽・オ>4回表2死ニ、三塁からTー岡田を打ち取り白い息を吐きながら吠える田中

パ・リーグ 楽天8-2オリックス

(4月2日 Kスタ宮城)
 楽天・田中将大投手(24)が2日、本拠地開幕となったオリックス戦で7回を5安打1失点に抑え、今季初勝利を飾った。3連覇を目指したワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では世界一を逃したが、大舞台で学んだカーブを駆使。チームは3連勝で、西武と並んで首位。球団創設9年目で初のリーグ制覇、そして日本一へ、エースがフル回転する。

 糸井は驚くように初球109キロのカーブを見送った。4回無死、1ボール2ストライクとして最後はスプリットで空振り三振。これまでの田中のイメージとは大きく異なる配球だった。

 「WBCで世界一は達成できなかったけど日本一は達成したい」。7回5安打1失点。WBCではエースとして期待されながら期待に応えられなかった男が本拠地開催のマウンドで結果を残した。

 好投の要因のひとつに89球中、11球を投じたカーブがある。昨季は1試合平均で1、2球程度で150キロを超える剛速球に、切れ味の鋭いスライダーとスプリットが最大の武器だった。しかし球速差が小さいことから打者にタイミングを合わされやすい弱点があった。侍ジャパンでは滑りやすいWBC球の対応にも苦しみ、2月の宮崎合宿ではカーブを封印することも一度決断した。

 だが、転機はやってきた。3月2日の開幕ブラジル戦(ヤフオクドーム)で先発しながら2回1失点と結果を残せず、その後は中継ぎに配置転換。同6日のキューバ戦(同)でも4回から登板していきなり3安打で1点を失った。このときの阿部から浴びせられた言葉が響いた。

 「カーブあるんだろ?使わないと抑えられないぞ」。2月17日、広島とのWBC強化試合(サンマリン宮崎)では全37球中、1球も投げなかった球種だが、この日は11球。全体の13%を占めた。最速149キロで、最も遅い球は108キロ。WBCでは力でねじ伏せようとしていた田中が41キロの緩急を駆使した。

 一流投手のカーブを見て盗もうと心掛けた。WBC期間中はチームメートだった広島・前田健、ソフトバンク・摂津、西武・涌井がカーブを投げた際には、ベンチ裏のモニターでスロー映像を見て確認した。「これまでカーブは抜き方をあまりイメージができなくて苦手だった。こんな抜き方をしているんだと勉強になった」と、大会3連覇を逃したが収穫もあった。

 昨季は自身初となるシーズンの開幕投手を務めたが今季は新人の則本に譲った。希望すれば開幕戦に投げることも可能だったが、田中は「1年を通してローテーションを守る」と本拠地開幕戦に回ることを決めた。「きょうは怖いぐらい緊張しなかった。(WBCで)やってきたことが大きい」。小雨で気温7度。吐く息も白かったが、仙台のファンを熱くさせるには十分な投球だった。

 ▼楽天・星野監督(田中について)点差もあったし、WBCで長いイニングも投げていなかったから7回で代えた。久々の登板で慎重になっていたけど、次は完投ペースで投げてくれるだろう。

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2013年4月3日のニュース