西岡「いいとこ取り」サヨナラ お立ち台では自虐ネタも

[ 2013年4月3日 06:00 ]

<神・中>9回無死一、三塁、サヨナラ打を放ち、ベンチを指差して舌を出す西岡

セ・リーグ 阪神4-3中日

(4月2日 京セラD)
 歓喜の輪がほどけると、ミネラルウオーターのシャワーを浴びてびしょ濡れになった阪神の西岡は右翼席へ駆け出し、取った帽子を胸に当て、3秒間深々とスタンドに向かって頭を下げた。最後まで声をからしたファンへの感謝を示した瞬間だった。

 「ただのいいとこ取り。全く打たへんし、エラーするし、何やってるんやと。どん底まで落ちたな、と開き直った」

 同点の9回無死一、三塁。冷静だった。「外野フライでもいい状況。そうなりにくい内角に絶対に来る」。2球目。読み通り、中日・田島が投じた食い込んでくる変化球を完璧に捉え、右前に運んだ。それまで4打数無安打。4回には森野の二ゴロを失策するなど攻守に精彩を欠いていたが、和田監督も「あそこで打つのが西岡」と称えた。

 「先憂後楽(せんゆうこうらく)」―。西岡が最も大切にしている言葉だ。プロ1年目。シーズン途中に2軍落ち。腐りかけたとき、父・邦昭さんが息子への手紙にしたためた4文字だ。「今はつらいかもしれない。でもこれを乗り越えれば、後には楽しいことが待っている」。現在使用するマスコットバットの先端部にもプリントされ、ファンへのサインにも添え書きすることもある。

 「2年間の“米国旅行”から帰ってきた西岡です。阪神のために命懸けで、必死のパッチで頑張るで!」。お立ち台で高らかに声を張り上げた西岡は帰り際、しんみりと話した。「最高ですね。これだけのファンがいて…」。メジャーで満足いく結果が残せず、味わった挫折も、この日のための「先憂」だったのかもしれない。ホーム開幕戦でのサヨナラ打。これから何度でも西岡が虎を救ってくれる。

 ▽西岡の前回のサヨナラ打VTR ロッテ時代の08年4月6日のソフトバンク戦(千葉マリン)で「3番・遊撃」で先発出場。4―4の9回2死満塁、ニコースキーから左前打。「小学生の時以来」と振り返った。この日は、ピンクと黒の本拠地用セカンドユニホームお披露目試合だった。

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2013年4月3日のニュース