黒田&阪神・藪コーチが攻略法伝授 決戦の地AT&Tパーク

[ 2013年3月17日 06:00 ]

WBC決勝トーナメントの舞台となるAT&Tパーク

 決勝トーナメントの舞台となるAT&Tパークは、遊び心満載の球場として有名。左右非対称の構造に加え、右翼後方にはマッコビー湾が広がる。ただ、初めての投手にとっては適応能力が問われる球場でもある。同球場で防御率1点台を誇るヤンキース・黒田博樹投手(38)と、08年に同球場を本拠とするジャイアンツでプレーした藪恵壹・阪神2軍投手コーチ(44)が「AT&T攻略法」を明かした。

 ≪ヤンキース・黒田が伝授≫

 (1)ブルペンとの感覚の違いに注意せよ

 僕は一塁側のビジター・ブルペンしか投げたことがないが、実際のマウンドと微妙に違う。どの球場も多少の違いはあると思うけど、AT&Tパークはブルペンが一、三塁側のファウルエリアにあるため、観客席との距離感や景色の違いが理由なのか、方向的にずれている感覚もある。そこはいつも注意していた。

 (2)高低を使え

 僕の感覚では一番、マウンドが高い気がする。そのため角度はつけやすく、高低はうまく使える。ジャイアンツのリンスカム(08、09年サイ・ヤング賞)のようなフォーシームとスプリット系、あるいはチェンジアップ系を得意とする投手が、あの球場ではいい成績を残している。バックネットの下はレンガなので跳ね返りが強く、仮に後逸しても三塁走者をアウトにできる可能性がある。ただ、バッターボックスが低く感じる分、ボールが高めに浮きやすい。常に低めに集めることを心掛けて、投げていた。

 (3)右中間の三塁打に気をつけろ

 右翼ポール際は狭い(約94メートル)が、右中間は広い(約128メートル)。あそこに打たれると、長打になってしまう。また、外野のフェンスが不規則なので、クッションボールの処理を誤ると、すぐに三塁打になる。左打者の内角に投げる時はいつも細心の注意を払っていた。走者を置いた時は大量失点につながる。僕の中では、試合展開を考えながら投げていた球場ですね。

 ≪阪神・藪2軍投手コーチが伝授≫

 (1)変化球は曲がる

 空気の乾燥については、サンフランシスコは大丈夫です。僕も08年に今の日本代表と同じように、アリゾナでキャンプをやってから、サンフランシスコでシーズンに入った。湿気があるので、アリゾナと比べると投げやすかったのを覚えている。特に変化球はよく変化してくれた。フォークは落ちるわ、スライダーは曲がるわ。変化球は有効です。

 (2)室内練習場を活用せよ

 3月のナイターは寒い。大リーグもそうですが、WBCでは日本のように味方の攻撃時にベンチ前でキャッチボールをすることはできない。観客の視線の妨げになるから。でも、AT&Tパークのベンチ裏には、室内練習場がある。僕は三塁側のホーム側でしたが、縦長で2カ所で打撃練習ができるような広いスペース。ネットで区切られているので、そこにボールを投げれば、ウオームアップになる。僕以外の投手も何人か投げていた。これは日本の投手陣へのアドバイスになるかもしれませんね。

 (3)投手有利の球場

 開場した頃、バリー・ボンズがマッコビー湾への「スプラッシュ・ヒット」を連発していたので、左打者有利のような印象があるが、実際は反対。右翼後方から冷たい海風が吹いているので、打者には常に逆風。06年の第1回大会の決勝会場だったサンディエゴのペトコ・パークほどではないが、AT&Tパークも投手有利の球場です。

 ▽AT&Tパーク ジャイアンツの本拠地で00年に開場。収容人数は4万1503人。右翼後方のマッコビー湾に直接飛び込む本塁打は「スプラッシュ(水しぶき)・ヒット」と呼ばれ、試合時にはホームランボールをキャッチしようとカヌーに乗ったファンが多数出現する。外野の形状はメジャーで最も特殊とされ、07年のオールスターではイチロー(当時マリナーズ)が放った打球が右中間フェンスのくぼみに当たって転々とし、球宴史上初のランニング本塁打となった。

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2013年3月17日のニュース