4番お目覚め!阿部1イニング2発でいざ米国

[ 2013年3月13日 06:00 ]

<日本・オランダ>2回無死、ソロ本塁打を放ちハイタッチをかわす阿部

WBC2次ラウンド1組 日本10-6オランダ

(3月12日 東京D)
 第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)2次ラウンド1組の1位決定戦が12日に行われ、3連覇を狙う侍ジャパンはオランダと対戦し、2回に阿部慎之助捕手(33=巨人)の大会史上初となる1イニング2本塁打などで一挙8得点。10日の同戦に続き、猛打で勝負を決めた。4番兼主将の完全復活で、侍ジャパンは2次ラウンド3戦全勝で1位通過。米サンフランシスコで17日(日本時間18日)に準決勝を戦うことになった。

 浮かれた様子はまったくない。1位通過を決めた試合後。阿部は引き締まった表情で、スタンドにサインボールを投げ入れた。そして、お立ち台では、強い口調で世界一を宣言した。

 「1次ラウンドから苦労したから、いい結果になった。選手一丸となって、とにかく優勝を目指して。そして、浩二さんを絶対に男にしたい」

 胸のモヤモヤを吹き飛ばす2本のアーチだった。2回、先頭で打席に入ると、3球で追い込まれた。そこから右足の上げ方を抑えめにし、コンパクトにスイングしながらファウルを4度、打った。9球目、真ん中外寄りの直球を右翼席へ突き刺した。2月の対外試合から34打席目で飛び出した一発。打者一巡で回ってきた2死一、三塁では、低めのカーブを右手1本で拾い、再び右翼席へ運んだ。大会前に右膝の違和感を訴え、1次ラウンドは無安打と苦しんだ。しかし、2次ラウンドでは計6打点。きっちり調子を上げてきて、10日オランダ戦の第3打席から、5打席連続安打で締めた。

 WBC史上初の1イニング2本塁打。「本当に久しぶりに打ったので気持ち良かった。1イニング2本塁打は人生初。最高です。徐々に自分のバッティングになってきた」と納得の表情で振り返った。

 山本監督は「収穫は阿部の2本の本塁打。いい形でアメリカに行ける」と大黒柱の復調に手応えを口にした。決勝トーナメントを前に、阿部は「凄い強いチームが来ると思う。力もパワーもある。そこで何ができるか。みんなで考えたい」と力を込めた。3連覇へあと2勝。06年の日米野球でユニホームを交換した米国代表のマウアーと、同じグラウンドで対峙(たいじ)する可能性もあるが、雲の上の選手として見ていた7年前とは違う。くしくも日本時間20日の決勝戦の日は自身の34歳の誕生日。北京五輪で準決勝、3位決定戦ともに最後の打者となった男が、「世界一」という名の忘れ物を取りに米国へ乗り込む。

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