侍は阿部も走る!米でも「オール・グリーンライト」作戦

[ 2013年3月12日 06:00 ]

日本代表練習でウオーミングアップする阿部

WBC2次ラウンド1組1位決定戦 日本―オランダ

(3月12日 東京D)
 第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で3連覇を狙う侍ジャパンは、12日に2次ラウンド1組の1位決定戦(東京ドーム)で、敗者復活2回戦を勝ち上がったオランダと再び対戦。既に準決勝進出を決めており、17日(日本時間18日)から米サンフランシスコで始まる決勝トーナメントを見据え、野手全てが自らの判断で盗塁できる「オール・グリーンライト」作戦を敢行する。侍ジャパンは、試合後にチャーター機で渡米する。

 2次ラウンド1位決定戦。相手はまたもオランダだ。10日に6発を含む16得点で7回コールド勝ちした相手。それでも山本監督は気を緩めず「メンバーが代わっても力を持っている選手が多いんだから、そのメンバーで勝ちにいく」と誓った。

 既に米国行きは決めた。そのため阿部をDHで起用し、長野ら不調の選手や出場機会の限られた選手に調整の場を与える方針だ。だが、2位通過なら準決勝と決勝は連戦。1位通過なら中1日ある。3連覇へ少しでも疲労を減らしたい。

 勝つ。そのための武器も変わらない。準決勝を見据え、高代内野守備走塁コーチは「米国でも基本的にはオール・グリーンライトです。走者の判断で、いけるところはいってもらう」。グリーンライトとは自らの判断で盗塁できる権利。同コーチがオールをつけたのは「全員青信号」という意味だ。ここまで5試合も全選手グリーンライト作戦の下、計6盗塁。8日の台湾戦では1点ビハインドの9回2死一塁から鳥谷が二盗に成功。井端の同点打を呼び込んだ。同コーチは「米国ではグラウンドが土になる。人工芝よりも走るスピードは若干落ちる。それでも走塁は、日本が世界一」と信じている。

 連覇した前回大会では5試合消化時点で4盗塁止まり。ボークの基準があいまいで日本なら反則となるけん制が許されるケースもある国際大会では、本来盗塁は難しい。打線は長打力を見せ始めたが、山本監督は「きのうのような試合はそうない。ずっとやってきた足を使う」と目指す野球にブレはなかった。

 走者の選別もない。2日のブラジル戦では阿部が三盗を仕掛けた。坂本がファウルして幻に終わったが、梨田野手総合コーチは「びっくりした。タイミング的にはセーフ」と目を丸くしたほど。積極走塁には副産物もある。高代コーチは「守る方は走者に気がいき打者に集中できない。盗塁阻止へ直球が多くなる。そこを狙い打てる」と相乗効果を口にした。

 クイックが速い投手や、制球が乱れて四球が期待できる場面など、時に「待て」を出すケースはあるが、むげに扉を閉ざすつもりはない。山本監督は「いい形で得点になっているわけだから」とオランダ戦で初めて組んだ鳥谷、井端の1、2番コンビを準決勝以降も続行する方針だ。機動力のある2人を先頭に走り続ける。青信号の御旗の下、疾風侍はその足を止めない。

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