大谷 藤浪より速い152キロ プロ初三振はヤクルト川端から

[ 2013年3月11日 06:00 ]

<日・ヤ>6回から2イニングを好投した大谷

イースタン教育リーグ 日本ハム1―2ヤクルト

(3月10日 鎌ケ谷)
 日本ハムのドラフト1位・大谷翔平投手(18=花巻東)が10日、イースタン教育リーグのヤクルト戦でプロ初登板。強風と砂ぼこりが舞う悪条件の中で最速152キロを計測し、2回1安打無失点2奪三振と圧巻の投手デビューを飾った。次回登板は14日の同教育リーグ・楽天戦(鎌ケ谷)が濃厚。二刀流を目指す黄金ルーキーは、投手と野手での同時出場に向けてまた一歩前進した。

 大谷がマウンドに上がった6回、好天の上空に雲が広がった。鎌ケ谷スタジアムは風速15メートル以上の強風が吹き荒れ、砂ぼこりが上がる。だが、そんな悪天候を吹き飛ばす衝撃の投手デビューだ。

 1死後。「投手・大谷」の実力を測るには申し分ない相手を迎えた。昨季打率・298をマークした川端だ。故障で出遅れ、今季初実戦だった。3球目の後に一時中断するほど風が強まったが、集中力は切れない。直球を4球続けて追い込み、最後は縦に鋭く曲がり落ちるスライダー。プロ初三振をヤクルトの中軸を担う好打者から奪った。

 「ストレートで押せたし、自分のピッチングができた」

 続く川島の3球目にはこの日最速の152キロを計測。前日に日本ハム戦(甲子園)でオープン戦初登板し、最速151キロをマークしたライバルの阪神・藤浪を1キロ上回ってみせた。全30球中8球が150キロ以上。ただ、花巻東時代に高校生最速の160キロを計測した右腕は満足しない。「カウントを取る球は7、8割で投げた。(152キロより)もっと上げていきたいし(状態が上がれば)ついてくるものだと思う」と涼しい顔だ。

 2回1安打無失点。「(突然の悪天候は)打者の方が見えづらかったと思う。僕に有利な環境でやらせてもらった」と控えめながら、打者7人に対して初球は全てストライク。WBCブラジル代表の4番も務めたユウイチに許した唯一の安打(二塁打)も、風に流された不運な当たりだった。

 東日本大震災から、11日で2年がたつ。大谷は「一つでも多く、いいニュースを届けたい。勇気づけられればいいし、頑張っていきたい」と出身地である被災地・岩手に思いをはせた。そのためにも1軍で活躍することが必要だ。打者としては、イースタン教育リーグで2戦連続マルチ安打をマーク中。投手としても結果を残し、早ければ21日の楽天とのオープン戦(東京ドーム)で二刀流デビューする。

 ▼日本ハム・栗山監督(大谷の報告を受けて)普通だよね。バットに当たっちゃったんだという感じ。152キロしか出ていないの?俺は本当に165キロ投げると思っているから。

 ▼日本ハム・西2軍監督兼内野守備コーチ 最高の投球。凄いね。あの風の中で大したもの。

 ▼日本ハム・近藤(好リード)ああいう天候でもしっかりした球がコースに決まっていた。直球は受けていてもズドンと重い感じがした。

 ▼日本ハム・大社啓二オーナー代行 既に打者でも見せてくれているけど投手としての可能性も感じさせた。ここのスピードガンは終速表示らしいから、実際はもっと速いかもしれない。

 ▼日本ハム・山田正雄GM やっぱりスピードがある。それにドタバタしないし落ち着いていた。

 ▼ヤクルト・川端 直球は切れより重い感じ。ズドンとくる。スライダーの落差もある。正直(砂ぼこりで)大谷君の顔はぼやけて見えなかった。

 ▼ヤクルト・藤本 手も足も出なかった。直球は意識したのにファウルになるほど速いし、スライダーは切れも角度も落差もあってフォークみたい。

 ▼ヤクルト・杉村2軍打撃コーチ 左肩がしっかり打者に向かってくるし、リリースポイントが打者に近い。打者は思っている以上に近く感じる。落ち着いているし、ただ者じゃない。

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