マエケン 最警戒はバレ スライダー生かす内角攻め辞さず

[ 2013年3月10日 06:00 ]

オランダ戦を前に、リラックスした笑顔で調整する前田

WBC2次ラウンド1組 日本―オランダ

(3月10日 東京D)
 4時間37分の激闘を見届けた記憶が、前田健(広島)の力へと変わった。「これがWBCなのかと…。きのうの試合を見て熱い気持ちがこみ上げてきた。投げたくてウズウズしている」。自分の右腕で、米国への一番切符を獲得する。湧き上がる高揚感を隠さなかった。

 2次ラウンド初戦の結果次第で、9日と10日に登板する可能性があったが、今はオランダを倒すことだけを考えればいい。相手は1次ラウンドで侍ジャパンが屈したキューバを撃破した強敵。今大会は4試合18得点、3本塁打をマークしている強打を自慢としている。

 最も警戒するのが4番・バレンティン。「味方に(自分の)情報を伝えていると思うけど、逆手に取ることもできる。バレンティンを抑えれば勢いを止められる」。広島のエースとヤクルトの主砲として2年間で22打数4安打、打率・182。苦手意識はない。首脳陣から内角攻めの指示も受けている。セ・リーグの2年連続本塁打王を封じるには、外角球を踏み込ませてはいけない。橋上戦略コーチも「(バレンティンだけでなく)どの打順も一発がある。スライダーは体勢を崩しても持っていく。外一辺倒では駄目」と説明した。

 3日の中国戦は5回を56球で零封。球数制限が80球へ増えるが「あまり考えず、とにかくゼロに抑える」。だが、結果と同時に内容も求めていく。「先発投手が長い回を投げる方がチームが勝つ確率は上がる」。ノーヒットノーランを達成した昨年4月6日のDeNA戦(横浜)に当てはめれば、5回2/3で78球。最終的には83球で、6回まで投げ切れる計算だ。

 延長10回を戦った8日の台湾戦は計7投手を投入した。もし、オランダに敗れれば、12日まで最大3連戦となる。救援陣の負担軽減を思えば、長い回数を投げることがチームを救うことになる。もちろん、勝って米国切符をつかむことしか考えていない。「早く決めたい。あす決められるようにみんなで一丸でやりたい。凄い緊張感で投げて結果を出せば選手として、大きくなれると思う」。心も体も、大一番へ向けて準備は整った。

 ▼与田投手コーチ きのうの試合もそうだけど、先発が少しでも長い回をいってほしい。あす以降も連戦が続く。(救援陣は)3連戦になる可能性もある中で30球を超えないように投げないといけない。

 ≪7回で79球も≫前田健の昨季公式戦の1イニング平均投球数は15・4球。今大会2次ラウンドの球数制限は80球となっており、ほぼ5回(77球)で降板となる計算だ。ただし、昨季ノーヒットノーランを達成した4月6日のDeNA戦など、今大会の規定なら6回を投げ切れる試合が全登板29試合のうち7試合。4月18日のDeNA戦は7回まで79球でまとめており、救援陣の負担軽減は十分可能だ。ちなみに過去、日本の先発投手の2次ラウンド最長イニングは6回。06年渡辺俊が韓国戦、09年松坂が1回戦キューバ、岩隈が敗者復活2回戦キューバと3人が記録している。

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2013年3月10日のニュース