サッカー大国のはずが…オランダ 野球も強いワケ

[ 2013年3月9日 06:00 ]

<キューバ・オランダ>6回2死一、三塁、スコープ(右から2人目)の3ランに盛り上がるジョーンズ(右端)バレンティン(中央)らオランダナイン

WBC2次ラウンド1組 オランダ6―2キューバ

(3月8日 東京D)
 オランダがキューバ打線をしのぐパワーを見せつけた。2本塁打を含む14長短打で6得点。しかも、主役はメジャー予備軍の脇役たちだった。

 「ありがとう、その一言に尽きます。最後まで球をよく見て、一生懸命プレーしただけ」。3安打4打点と大暴れした2番・スコープはアイスクリームをなめながらはにかんだ。オリオールズで昨年11月にメジャー40人枠に登録された伸び盛りの21歳。まだ3Aでのプレー経験もないが、今春は大リーグのキャンプに参加してもまれた。試合を決めた6回の3ランだけでなく、3点差に迫られた8回には左翼線適時二塁打でダメを押した。

 キューバキラーの面目躍如だ。大会直前の2月24日。台湾・台中での練習試合では、5―0で零封勝ち。一昨年10月のW杯でも予選、決勝と2度対戦し、キューバに連勝した。その決勝で適時打を放ち初優勝に導いたスコープが、またも引導を渡した。

 オランダといえば練習中に選手が野球のボールでリフティングを始めるほどのサッカー大国。しかし、野手の大半は野球人気の高いカリブ海のオランダ領キュラソー出身で、野球以外は知らずに育ったという。

 WBC初の4強入りも見えてきた。それには10日の侍ジャパン戦が大きな鍵を握る。90年代にロッテ、ヤクルトでプレーしたヘンズリー・ミューレン監督は「相手は連覇しているし対戦成績は良くない。ただ1日休めるのは大きい。いい勢い、流れができた」。セ・リーグ2年連続本塁打王のバレンティン(ヤクルト)は「知ってる投手は多いしアイデアはある。みんなに情報を伝えるよ。まあ、どこが相手でも自分たちの野球をするだけだよ」と自信たっぷりに話した。脅威のオレンジ軍団をもうダークホースとは呼べない。

 ▽オランダ領キュラソー ベネズエラ北方沖の島で、総面積は444平方キロ。17世紀にオランダ人が入植し、1954年に周辺の島々とオランダ領アンティルとして内政自治権を獲得。独立運動の機運の高まりを受け、2010年10月にアンティルから分離した。人口は11年推定で14万9700人。首都はウィレムスタト。

 ◆ジョナサン・スコープ 1991年10月16日、オランダ領キュラソー生まれの21歳。08年オリオールズと契約。11年に「フューチャーズゲーム」と呼ばれるマイナー選手のオールスター戦に出場。同年オ軍のマイナー最優秀新人に選出された。昨年は2Aで124試合に出場し、打率・245、14本塁打、56打点。今年のオープン戦出場は1打席のみだが、2月23日ツインズ戦で左前打を放った。1メートル85、88キロ。右投げ右打ち。

続きを表示

この記事のフォト

2013年3月9日のニュース