阿部 またも驚異的回復見せた!WBC初戦は代打待機

[ 2013年3月2日 06:00 ]

笑顔を見せる阿部

WBC1次リーグA組 日本―ブラジル

(3月2日 ヤフオクD)
 第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で3連覇を目指す侍ジャパンは2日、ブラジルとの開幕戦(ヤフオクドーム)に臨む。右膝に違和感を訴え、28日の巨人戦(同)でベンチ入りしなかった阿部慎之助捕手(33)は代打待機することが濃厚となった。この日は打撃練習をこなしたが、首脳陣は先を見据えて無理はさせない方針。手負いの主将はここ一番での一振りに懸ける。
【日本メンバー 侍ジャパン日程】

 雨音が響く福岡工大の室内練習場で、阿部は走り、そして打った。アップから全メニューに参加。軽快な動きも見せた。首脳陣が見守る前で、フリー打撃では50スイングの快音を響かせた。

 「普通に打てたよ。思ったよりも。膝に関しては見ての通りです」

 言葉数は多くないが、安どの表情だった。2月27日の全体練習のアップ中に右膝に違和感を覚えた。開幕前最後の実戦となった28日夜の巨人戦は欠場どころか、球場にも現れず練習を一切行わなかった。宿舎で患部に注射を打ち、必死の治療を施した。「僕、注射打つとよく効く方なんで」。昨年の日本シリーズでも第3戦で右膝裏を痛め、2試合を欠場。注射と痛み止めの服用で第6戦に奇跡的に出場し、決勝打も放った。ケガにも逆境にも強い男は、またも驚異的な回復力を見せた。

 動きを終始見守った山本監督も「打撃も普通にできていた。見た感じ、かなり力が入っていた」と一安心の様子。それでも「ただ膝だからな。マスクをかぶるとなると慎重にいかないといけない。DHも考えられなくはないが、走ることがどうなのか見極めが必要」と慎重な姿勢は崩さない。

 米国で決勝が行われる19日(日本時間20日)までの長丁場を見据えれば、格下との対戦が続く1次ラウンドで無理をさせるのは得策ではない。スタメン、欠場の可能性を含め、きょう2日朝の状態で決めるが、開幕戦はベンチスタートが濃厚。山本監督の懐刀として、代打でここぞという場面で一振りに託すことになりそうだ。大差の展開になれば温存もできる。

 1次ラウンドは絶望的とも想定された最悪の事態を考えれば、ベンチに阿部がいるだけでも大きい。昨年11月のキューバとの親善試合でも、山本監督は右膝裏痛で出場の難しい阿部を「ベンチに座っているだけでいいから」と招集。実際にプレーはしなくても指南役として若手に技術指導や経験を語り、精神的支柱として声を張り上げた。

 開幕を目前に控え、阿部は「万全の人、そうでない人がいますが、チームのために自分に何ができるかを考え、みんなで声を掛け合って頑張っていきます」と所信表明した。練習後の去り際には「(監督に)“行け”と言われたから“行きます”と言ったよ」と冗談めかしてバスに乗り込んだ。手負いの開幕となるが、チームとともに戦い抜く覚悟に変わりはない。

 【阿部代打アラカルト】

 ★09年4月23日・ヤクルト戦 08年10月に痛めた右肩痛を考慮し先発を外れたが、1―1で迎えた9回2死一、三塁から登場。初球の直球を振り抜き、右翼フェンス直撃のサヨナラ安打を放った。お立ち台では「最高です。使ってくれた監督に感謝したい」と絶叫。

 ★12年7月14日・中日戦 10日に右背中に死球を受けた影響などからベンチスタートも、1点を追う9回1死一、三塁で出場。岩瀬のスライダーを叩き、逆転の左中間2点二塁打。「思ったよりも飛びましたね」と笑顔。

 ★12年11月9日・アジアシリーズ・パース(オーストラリア)戦 日本ハムとの日本シリーズで右膝裏を痛めた影響で先発を外れたが、同点の7回無死一、三塁で左前へ決勝適時打。「打てそうな球は全部打とうと思っていた」と話した。

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