阿部 右膝違和感でWBC開幕戦ピンチ 4番は?

[ 2013年3月1日 06:00 ]

27日の練習で膝に手をやる阿部。強化試合の最終戦を結局、欠場した

WBC強化試合 日本6―1巨人

(2月28日 ヤフオクD)
 浩二ジャパンが非常事態に陥った。2日に開幕する第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で3連覇を狙う侍ジャパンの阿部慎之助捕手(33=巨人)が28日、右膝に違和感を訴え、巨人との強化試合(ヤフオクドーム)を欠場した。同試合に6―1で勝った山本浩二監督(66)は、1日の状態を見た上で、1次ラウンド初戦となる2日ブラジル戦(同)の出場を判断するとしたが、主将、4番、正捕手がいきなり欠場することが濃厚となった。

 午後5時15分。ヤフオクドームでアップを始めた侍ジャパンの輪の中に、背番号10の姿はなかった。阿部が本番前最後となった巨人との強化試合を欠場。直後に日本野球機構(NPB)の松崎勝久広報部長が症状を説明した。

 「きのうの練習中、ウオームアップで右膝に違和感を感じた。チーム医師、トレーナーと相談して大事を取り、練習および試合を休みます。病院にも行かず様子を見ます」。主将、4番、正捕手の一人3役を託す大黒柱の欠場という非常事態。宿舎で静養した阿部は、NPBを通じ「きょうは大事を取らせてもらいました」とコメントした。

 関係者によると、違和感を訴えたのは右膝の外側寄りで、昨年の日本シリーズで痛めた膝裏とは違う箇所だという。それでも右膝に爆弾を抱えていることには違いなく、宿舎では注射を打つなどして懸命な治療を行っているという。「あすの状態を見てからだな。それを見て(ブラジル戦の出場は)判断する」と山本監督。しかし、現状では屈伸もできない状態で劇的な回復が見込まれない限り、1次ラウンド初戦の欠場は濃厚だ。さらに同ラウンドの3試合全て欠場する可能性が高い。

 阿部は前日の練習ではフルメニューを消化していた。打撃練習後には遊撃の位置に入り、ノックも受けた。練習後には「これまでは力みまくっていた。これからは自分が打って勝つとか思わないようにしたい」と話し、壮行、強化4試合で12打数1安打の打率・083という不振からの脱却を誓ったばかりだった。

 捕手出身の梨田野手総合コーチは「捕手にとって右膝は凄く大事。立ったり、座ったりの重労働だから」と説明した。15日の宮崎合宿初日から、阿部ら捕手は野手組のメニューに加え、投球練習の時間にはブルペンへ走り、球を受け続けた。所属球団以外の投手との呼吸を少しでも合わせるためだった。加えて主将、4番としての重圧ものしかかり、古傷の右膝を知らず知らずのうちにむしばんだとも考えられなくはない。

 日本シリーズでは第3戦で右膝裏を痛め負傷交代。2試合欠場しながら本拠地に戻った第6戦で4番・捕手として強行出場し日本一を決める決勝打を放った。誰よりもケガや逆境に強く、捕手は厳しくてもDHなら出場できる可能性はある。山本監督が「どんなことがあろうと阿部だけは不動」と心中を決めた大黒柱の離脱。3連覇を目指す侍ジャパンに最大のピンチが訪れた。

 ◇阿部と膝痛

 ☆11年7月9日の広島戦 4回に丸のファウルチップが左膝に直撃し、7回の守備から退いた。10日の同カードを欠場し、12日の阪神戦から復帰も13打数1安打と打撃不振に陥り、16日のヤクルト戦を欠場。

 ☆12年9月2日のDeNA戦 8回に本塁のクロスプレーで三塁走者の金城と激しく交錯した際に左膝を打撲し、担架で運ばれた。次戦の4日の阪神戦は捕手ではなく一塁で先発し、初回に先制の2ラン。

 ☆12年10月30日の日本ハムとの日本シリーズ第3戦 5回に二ゴロに倒れた後、右膝裏の違和感を訴え交代。両足首痛も抱えて第4、5戦を欠場し、ベンチ入りメンバーからも外れた。11月2日の移動日はかかりつけの治療院で電気治療器などで懸命の措置を続け、入念なマッサージ。3日の第6戦は痛み止めを服用し、原監督に出場を直訴。「4番・捕手」で強行出場し、7回に中前へ勝ち越しの決勝打を放ち日本一を決めた。

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